母と子の気持ちのすれ違いも、本作は見事に描かれていました。
玉を飲み込んだ「ひまわり」
今回の事件の発端ともなった玉を飲み込む事件ですが、こちらも現実によくあることです。
上の子が遊んでいたおもちゃを下の子が飲み込むのは、育児あるあるといっても過言ではないでしょう。
現実によくあることをストーリーの中に盛り込むことで、本作に共感出来る人も多いのではないでしょうか。
ひろしの現実感
ひろしは、所々に仕事のカラーを出しています。
敵が間近にもかかわらず名刺交換をしたり、会社に欠席の電話をしたり……。
そんなリアル感も、観る者に苦笑いを提供してくれます。
会社に勤める人間にとって、世界を救うことよりも明日の仕事の方が大切だというサラリーマンの風刺的な内容に描かれているのです。
あんたの給料に、俺の税金が使われていると思うと泣けてくるぜ
引用:クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡/配給会社:東宝
ひろしのセリフですが、彼は登場人物の中で最も現実的な人物といえそうです。
現実へのちょっとした「毒」も本作が傑作だといわれる所以なのでしょう。
珠黄泉族の頭領の腹黒さ
敵の玉王ナカムレは、クラブのママとしての発言が目立っていました。
裏の世界に君臨しつつも、表の人間の常識を守ろうとしています。
心に鍵をかける事ぐらいのことは出来ます
引用:クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡/配給会社:東宝
上記のセリフは、裏の社会に生きる女性の心の内を表現しているかのようなセリフです。
本作は細部までキャラクター設定が行き届いており、ゆえに観る者を飽きさせない奥深さがあるのかもしれません。
名言が多いと話題になった
『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』は、作品中に名言が埋め込まれていることでも話題になりました。
会社の方どうなっているかな
父ちゃんが思っている程、皆気にしてないよ
引用:クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡/配給会社:東宝
上記はしんのすけのいつもの突っ込みですが、奥の深いセリフではないでしょうか。
仕事に追われ常に仕事から離れられないひろしに向かってもっと楽に考えなよ、といっているようにも感じます。
また、下記はひろしのセリフです。
自分ひとりででかくなった気でいる奴は、でかくなる資格がない
引用:クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡/配給会社:東宝
父親として、重みのある言葉をしんのすけに残していました。
ストーリーは勿論ですが、本作はセリフのひとつひとつも奥深い作品です。
シリーズ最高傑作と呼ばれる作品
『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』は、その後に作品が続いているにも関わらずシリーズ最高傑作といわれ続けています。
細部までこだわったキャラ設定・セリフの重み・リアルな子供の成長など見どころ満載の作品なのです。
更にクレヨンしんちゃんならではのハイセンスなギャグも、ファンには大うけしています。