この説を基にすると、本作で灰になる覚悟を選ぶというのは、アメリアの「不時着死亡説」を暗示しているのではないかと考えられます。
ラストでアメリアがカナダを目指した理由
アメリアを見送ったのちポッケに入っていたジェドとの会話で、ラリーはこのようにつぶやきます。
カナダだ…きっとカナダに向かった
ナイトミュージアム2/配給:20世紀フォックス
なぜラリーはアメリアの行き先がカナダだと思ったのでしょうか。それはアメリアの経歴を見ると分かります。
アメリアは飛行士になる前は、アメリカ陸軍病院で看護助手として働いていました。
その病院があったのはカナダで、世界一周の旅の始まりの地もニューファンドランド(カナダ)です。
つまり冒険をやり直すためにカナダへ向かったとラリーは判断します。
冒険の途中で進路を失ってしまったアメリアだからこそ、最後に戻るべきカナダを目指したと考えるのが自然です。
カナダに戻るための進路の見直し
先ほどのジェドとラリーの会話の最後は、ジェドの言葉で場面が切り替わります。
いや正しい進路に直した
引用:ナイトミュージアム2/配給:20世紀フォックス
南太平洋で目的地への進路を間違ったと考えられるアメリア。
カナダに戻るためには、進路の修正が必要です。そうだと判断したジェドの一言なのでしょう。
史実から考えると、本作のラストでアメリアは灰になるというよりは、自分の目的を達成するための再挑戦をしたと評価できます。
開館時間中に動き回る展示物
本作で登場する展示物が動くには「魔法の石板の影響を受ける」「夜でなければならない」という設定です。
基本的に自然史博物館は日中の開館で、夜は閉館しているはずなのに、映画ラストでは客がいるなか展示物が動いています。
結果から言うと博物館展示物の設定は無視されていません。客と展示物が入り乱れている時間は間違いなく「夜」です。
それらを示すシーンが「リポーターが出てくるシーン」と「博物館のBGM」から推測できます。
博物館で流れるBGMは夜を楽しむあの曲
映画の最後のワンシーンで、ラリーがアメリア似の女性を見つけます。
そのシーンが流れる直前まで流れている曲はEarth,Wind&Fireが歌う『Let’s Groove』(1981年Earth,Wind&Fire)です。
誰もが聞いたことのあるこの曲は、夜のディスコを連想する雰囲気があります。
実際歌詞にも夜を楽しむかのような部分があり、展示物が動いているシーンが夜であることを示唆していたのです。
決定的なリポーターの言葉
2か月の改装期間を経て、新たに営業を再開する博物館の前に人だかりができます。
一般公開を前に、カメラの前のリポーターはこのように話しました。
2か月の改装期間を終え今夜、自然史博物館が一般公開を再開しました。
引用:ナイトミュージアム2/配給:20世紀フォックス
「今夜」という言葉から、明確な時間帯がナレーションされています。
改装期間を終えると同時に、客足を伸ばすため開館時間を引き延ばした可能性が高いといえるでしょう。
この言葉から、展示物が映画の設定を破っているわけでないことは明確です。