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「人魚の眠る家」は東野圭吾原作の同名小説を映画化したもので、2018年11月16日に公開されました。
主演は篠原涼子で、「TRICK」「SPEC」シリーズなどで知られる堤幸彦監督がメガホンをとった、娘の“脳死”を扱った作品となっています。
今回は「人魚の眠る家」からラストシーンのその後、色彩演出の意図、瑞穂の生きる目的とは?そして人魚の真意を徹底考察していきます!!
ラストシーンのその後
ラストは臓器移植を受けたとみられる少年が、播磨家のあった空き地を眺めるシーンで終わりました。
ラストシーンのその後を考察していきましょう。
瑞穂の生きた証
ラストシーンでは瑞穂の心臓を貰ったとみられる少年が登場しますが、この描写は瑞穂の存在証明です。
瑞穂という人間は確かに存在し、姿かたちを変えても少年の中で生き続けるといえます。
それは人間が長い歴史の中で繰り返してきた命の連鎖なのです。
瑞穂という人間がいなくなっても、その生きた証はずっとずっと少年の中で鼓動を打ち続けるといえます。
播磨家が無くなったその後も、瑞穂がこの世に存在していた事は家族や友達の中で語り続けられていくのです。
そして少年が瑞穂の命を“子孫を残す”という形でバトンのように繋いでいくのでしょう。
家が無かった事の意味
瑞穂がこの世から去った後、播磨夫妻は夫婦関係を続けたのか、それとも別々の道を歩んだのか、その判断は観客に委ねられています。
ただ、瑞穂を取り囲んでいた彼や彼女らが、幸せな人生をおくっている事は確かです。
ラストで空き地から段々とカメラワークが空撮に変わっていくのは、瑞穂の魂が高く天に上っていくという視点といえます。
お母さん、お父さんありがとう、という主旨のことを瑞穂が言っているのです。
瑞穂が皆の事を天国から見守っているという視点なのでしょう。
家が無くなった事で瑞穂の魂もやっと安住の地へ行けたのです。
その事で周りの者も安心して自分の幸せを探し、ラストシーンのその後もずっと穏やかに時間は流れていくといえます。
色彩演出の意図とは?
映画の中で色の演出が巧みに描かれていましたが、この意図とは何だったのでしょう?
そこの秘密に迫っていきましょう。
色彩のトーンの変化の意味
この映画の特徴は映像が非常に綺麗で美しい、というところがまず印象的です。
瑞穂がまだ生きている頃は色彩演出も瑞々しく、光り輝いているもので溢れているような印象を与えています。
しかし、瑞穂が事故にあってからは一転し、冷たい映像のトーンに変わるのです。
そして、母親である薫子のエゴがどんどんと加速するにつれて、映像も彩度を増していきます。