アイから見ると、その状況はあまり良いものではありません。だからこそ、1人ひとりの団結力を高めるための試練をくぐらせます。
それが本作のチップをめぐるストーリーだったのです。
チップの存在と暗躍するアイやサディアス
本作のストーリーはすべてアイが操作していたと考えると、必然的にチップの管理施設にもアイが関係していると考えられます。
天文台でのラストのやり取りには、アイが操作していた事実のすべてが映し出されています。
天文台でのシーンでアイがすべてを操作していたことが判明
ラストの天文台では以下のシーンが映し出されます。
- 管理施設にいた七・三分けの男
- ストーリーで出たマジックのミニチュア模型
研究所の管理人の男がラストシーンで登場しました。つまり、その男もアイの関係者であることが分かります。
また男だけでなく施設の中のすべての人、さらには施設そのものもアイの息がかかったものである可能性は否定できません。
さらにストーリーで出たマジックのミニチュア模型に、フォー・ホースメンも驚きを隠せませんでした。
それらのミニチュア模型があるということは、「すべてはアイが手のひらの上で転がしていた」と考えられます。
こうなるとチップの存在そのものにも目を向けなければなりません。
チップはもともと存在しないガセネタ
アイが目的としたことは「悪を暴き出すこと」と「フォー・ホースメン」の団結です。
その過程にウォルターとフォー・ホースメンのチップ争奪戦があるだけで、アイはサポートに徹していたと考えられます。
それっぽい情報をウォルターやアーサーに流すことで、悪をおびき出したわけです。そしてフォー・ホースメンに潰させる。
結果的に悪は暴き出せたし、フォー・ホースメンの団結は強くなったので、アイの目的は果たせたことになります。
チップがガセネタとすると、観客もだまされていた
チップそのものが存在しなかったとなると、アイに騙されたのはウォルターやフォー・ホースメンだけではありません。
チップを巡ってハラハラドキドキした観客である私たちも騙されたことになります。
「すべてがひっくり変える」ストーリー展開こそ『グランドイリュージョン』の醍醐味です。
映画そのものをひっくり返す内容に、感情移入していた観客も「だまされた」となることこそ、製作側の意図かもしれません。
すべてが伏線に見える『グランドイリュージョン』
『グランドイリュージョン』シリーズは、最後の数分でどんでん返しが起きるのが見所の1つとされる作品です。
『グランドイリュージョン 見破られたトリック』(以後2と表現)が公開になった時点で、シリーズ3の製作も報じられました。
シリーズ全体を通したときに、シリーズ2そのものも伏線である可能性があります。
実際にシリーズ1ではディランとサディアスが敵対同士の関係でしたが、シリーズ2ではひっくり返されました。
全て伏線が隠されていると考えると、本作はより魅力的な作品となるでしょう。