指についた餌をなめているシーンはわずかに残った脳で味覚を感じていたのではないでしょうか。
大丸食品のフレッシュタイプ、これは今でいうウエットタイプの餌になります。
好物を食べさせたい
自分が危険な目にあうかもしれないとわかっていてもガブリエルを守りたい、失いたくない気持ちがあるのです。
だから遠くても好物の餌が置いてある店に行くのでしょう。
それと同時に自分のオリジナルの脳に同じ行動を覚えさせて記憶に残して忘れないようにしているのです。
バトーのゴーストとは
ゴーストとは
自分が自分であることがわかり他人ではないのだと認識すること。
ゴーストとは人間の魂(心)・意識(自分がどんな状態にいるのかわかる)・人格(人間としてのありかた)なのだと考えます。
そしてAIにはなく人間の脳にしか存在しないのです。
バトーはゴーストをどう感じるのか
ささやくのさ、俺のゴーストが
引用:イノセンス/配給会社:東宝
キムに仕掛けられた仮想現実の迷路でここが現実だといえるのかと聞かれた時のバトーのセリフです。
自分のゴーストがここは現実なのだとささやくから絶対に現実に間違いないのだと。
バトーはほとんど全身が義体化されていますが、わずかなオリジナルの脳だけが残っています。
何の根拠がなくても自分の魂から受け取ることができ、バトーはそれを信じることができるのでしょう。
そして人間と人形の狭間にいるからこそ、人間よりも人間らしさを意識しているのです。
何よりも彼のわずかな脳の中には草薙素子への想いがあります。
草薙素子は手の届くところには存在していませんがバトーの記憶の中や心の中には残っている。
目には見えなくても彼女を想う気持ちや感覚がありそれこそが彼のゴーストなのです。
バトーと人形の違いとは
本来、人形には心がない
「イノセンス」に出てくるガイノイド(愛玩アンドロイド)は本来は持ち主に逆らうことはありません。
ましてや殺人を犯すことなどない無垢なもののはず。
人間のために作られたはずなのにどうして人形は人間を襲ったのだろうか。本来生き物ではないし心などないのだから。
しかし、ガイノイドの電脳は人間の子供からゴーストダビングされていました。
意識ごと人形に入っていたので心も一緒に入っていたのではないのでしょうか。
まだゴーストダビングされていなかった少女が事件にかかわり、バトーはその少女に対して怒ります。
人間よりも人形の方が大事なのかと思うシーンでしたがそれは人間・人形ということが大事なのではないのです。
罪を犯した人間は死んでもかまわないが罪のない人形が死ぬのは許せない。
バトーにはこう感じるゴーストがあるのです。
犬に愛情を注ぐことにより自分のゴーストを維持している
セーフハウスに戻って部屋に入って一瞬バトーが固まるシーンがあります。
音を聞いてわかる通りガブリエルが粗相してしまった糞を踏んでしまっていたんですね。
それでバトーが靴を洗うのをガブリエルが肩に乗っかって見ていたのです。
バトーは餌の入った食器の中にガブリエルの長い耳が入るとそれを持ち上げて汚れないように出してあげています。