自分たちが学んだフラでその思いを伝えたことで、先生に感謝の気持ちを伝えたのでしょう。
そして同時に、まどか先生が追い出されるべきではない、先生の判断は間違っていなかったということを伝えたのです。
結末で先生が見せた涙の意味
簡単には弱みを見せないまどか先生が、ラストシーンでは顔をぐしゃぐしゃにして涙を流していました。
この彼女の涙には、彼女の成長が見え隠れしています。
仕方がなく連れられてきた
まどか先生は自身の借金返済の為に「仕事」をしに常磐へ来ています。
当初は彼女から炭鉱町に馴染みたくない、という思いすら伝わってくるようです。
しかし紀美子の兄である洋二朗から下記の言葉を聞かされ、彼らに人として目を向けていきました。
たった一人の妹のことを頼む
引用:フラガール/配給:シネカノン
この言葉が、まどか先生を変えるきっかけになるものだったのでしょう。
欠けていたまどか先生
映画の序盤では、都会から来た完璧な女性として描かれていたまどか先生ですが、彼女が実は完璧ではないことが徐々に明かされています。
そのひとつともいえるのが「素直になれないこと」です。
彼女があちこちから追い出されてきたのは、素直でないからなのかもしれません。
しかし、まどか先生は炭鉱という過酷な状況下で生きる彼女たちから、多くのことを学んだのでしょう。
あなたたちと踊りたい!
引用:フラガール/配給:シネカノン
まどか先生のセリフから彼女が素直になれたことを感じます。
だからこそ、エンディングでは素直に感激の涙を流すことが出来たのではないでしょうか。
喜びにわく観客とは逆に、ダンサーや関係者たちが号泣する映像は心に余韻を残します。
先生に映し出される時代の流れ
本作『フラガール』では、自由へ羽ばたこうとするフラガールたちと、時代の流れに対抗する町の人々の姿が印象的です。
この作品は変わることを望むものと変化を拒むものの姿を描いた映画ともいえるのではないでしょうか。
変化を受け入れなければ、時代に取り残される……。
頭でわかっていても受け入れられない大人たち、それに対して柔軟な心をもってフラガールに立候補した彼女達は町の光になりました。
今はこんなところで、何をしているんだろ……。
引用:フラガール/配給:シネカノン
かつてスポットライトを浴びていたまどか先生は、炭鉱で働く町の人々の姿を反映しています。
炭鉱の仕事に誇りを持ってる町の人々ですが、おそらく彼らの心にも同じような思いが浮かんでいたはずです。
彼らはその思いを認めるのが怖かったのでしょう。
彼女が素直になり成功を収めることは、すなわち町の人間が変化を受け入れ成功することを意味しています。
舞台の裏にある強さ