この安楽死という選択は物語の最後でも覆ることはありません。しかし、その目的は「ウィル」の中で変わっていったはずです。

「ウィル」は誰よりも「ルー」のことを理解しているのも劇中に描かれていました。

例えば「ルー」の誕生日シーン、「ウィル」はミツバチのタイツをプレゼントします。

それを受け取った「ルー」は彼氏のプレゼントよりも大喜び。少し変わった感性の「ルー」を「ウィル」は誰よりも理解していました。

そんな「ウィル」だからこそわかったのです。このままだと「ルー」は自分の看病で自由を手に入れられないと。

「ウィル」自身の看病で「ルー」の足枷になってしまう。そのため「ウィル」は安楽死を選んだのではないでしょうか。

これは「ルー」を愛しているからこその選択だったといえます。

物語にリアルさを感じる理由

「世界一キライなあなたに」の物語は非常にリアリティーを感じるでしょう。

それは、なぜなのでしょうか?そのリアルを感じる秘密を少し解き明かしていこうと思います。

そこには、主人公たちが抱える大きな問題がありました。そしてそれは現実社会でも問題視されていることです。

貧困の問題

悲しい女の子の感情的な肖像画

家族に縛られ、必然的に家族のために働かなければならないのは「ルー」であり、そのために彼女には自由がないのです。

2020年を迎えなんでも手に入る世の中になる一方で、映画界を席捲したアカデミー賞の作品賞は「パラサイト 半地下の家族」でした。

これは、貧困という社会問題がもう無視できない状況にきているという象徴ではないでしょうか。

世界中の人が抱えるお金の問題「貧困」は、多くの人が共感できる部分であるのです。

恋愛関係の問題

「ルー」と「ウィル」は、物語の序盤では2人とも恋人がいて、普通の恋愛映画であればどちらもフリーの状態で物語は始まるでしょう。

しかし、この作品は違います。好きな人に恋人がいるという恋愛関係はとてもリアルですね。

好きになった人に彼氏・彼女がいたという経験、あなたもあるのではないでしょうか?

死の問題

病院の中の治療室

死は生きる物全てが抱える問題です。この映画では「安楽死」が大きなテーマとして描かれています。

長年生きる権利の方は多く話し合われてきました。しかし、死ぬ権利である安楽死の方は、話し合うこと自体に蓋をしてきた印象です。

それだけデリケートな問題であるということなのかもしれません。

そんなデリケートな問題を扱った作品であり、誰にも避けられられない死に直結したテーマだからこそ非常にリアリティーを感じるのです。

安楽死を考える

物語の最後、「ウィル」は願った通りの死を迎えるのですが、あなたがもし死ぬ日を選べるとしたらどうしますか?

また、誰に看取ってもらいますか?

日本での安楽死

患者の病室での医師の手の中の医療注射器ぼかしの背景

日本では安楽死が認められていません。しかし「持続的深い鎮静」というのがあるのをご存じでしょうか。

この「持続的深い鎮静」とは、死期が近づいた患者に対し、耐え難い痛みがあるときにだけする医療行為です。

持続的深い鎮静を行うと患者本人は昏睡状態に陥り、二度と目覚めることはありません

「ウィル」の選択

 車椅子のシルエット

「ウィル」は彼の最後の願い、そして人生の幕引きを実行します。