この映画のように、世界は自ら死を選べるように変わっていくのでしょうか。
安楽死を選べるようになった国も実際にあります。しかし、その流れが広がっていくのかは、誰にも分りません。
なぜなら「安楽死」という考えに正解はないのですから。
ルーのその後は
「ルー」は物語の最後に、「ウィル」が残した遺産をもらいます。
しかしその遺産は、リスタートを行える程の大金ではあるものの、なぜか一生遊べるほどのお金ではありません。それはなぜなのでしょうか。
「ウィル」からの贈り物
「ウィル」は誰よりも「ルー」のことを理解していました。
優しくて愛嬌のある「ルー」は才能に溢れていることを「ウィル」は知っていて、彼女に幸せになってほしかったのです。
そんな「ルー」に一生遊べるほどではないお金を渡したのは、家族やお金にもう縛られるなという「ウィル」なりのメッセージ(愛)だったのではないでしょうか。
例えばこれが一生遊んで暮らせるほどの大金だったとします。
そうするときっと家族のためにも使い、お金があるからと人生を怠けてしまうことも考えられるのです。
「ウィル」は不自由な体で生きたからこそ、生きていくために何が必要なのかを悟っていたのではないでしょうか。
人生を豊かにするためには苦労や苦難はつきもので、それを乗り越えた先に喜びや幸せを感じることができるのですから。
「ルー」はどこへ
「ルー」は「ウィル」の好意によって自由を手に入れます。彼女を縛るものは、もう何もありません。
「ルー」の夢はファッションデザイナーでした。一度諦めた自分の夢を「ルー」は、もう一度目指すでしょう。
世界を旅し、見識を広げ、一流のファッションデザイナーになるために努力していくはずです。
「ルー」が自由に生きること、それが「ウィル」の願いだったのですから。
まとめ:愛かお金か
今回は自分の人生をも考えさせられる映画「世界一キライなあなたに」を考察してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の考察から、本記事のタイトルにある「結局は愛かお金か」という問いの答えは、「どちらも必要」であるという結論に至ります。
「ルー」と「ウィル」どちらにも互いを想う“愛”があってこその言動でした。
そしてお金がなかった「ルー」に自由な人生を生きてほしいと「ウィル」は“お金”を遺したのではないでしょうか。
お金がなかったら「ウィル」の愛を物理的な形で遺すことはできなかったでしょう。
時にはどちらかが勝ることもあるでしょうが、結局のところどちらもあってこそ、なのです。
お金があればより愛情を形にすることもできますし、愛情がなければお金にそれ以上の意味を持たせることもできません。
深く考えさせられるテーマに切り込んだ本作は、私たちに残りの人生を誰のためにどう生きるかを教えてくれるような作品でした。
考察を読んで改めて作品を観てみると、きっともっとこの作品に込められたメッセージを感じ取ることができるのではないでしょうか。
ぜひもう一度、大切な人と一緒に「世界一キライなあなたに」を観てみてください。