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リアル・ディーヴァ、レディー・ガガの出演で大きな話題になった「アリー/ スター誕生」。
その音楽の素晴らしさに圧倒された方も多いかと思いますが、この映画は意外なところで論争を巻き起こしていました。
昔から絶えない音楽論争です。
ここでは「アリー/ スター誕生」をきっかけになぜ音楽論争が起こったのかをアリーやジャクソンの存在と、実在したアーティストたちの現実を通して徹底解説します。
ジャクソンが体現するロックスターの姿
ブラッドリー・クーパー演じるジャクソンの姿は少し前のロックヒーローの姿そのものでした。
ロックスターの典型的な姿
現在は「ロックは死んだ」などといわれる時代です。
ロックは前時代の生き物的な扱いを受けることも多いですが、メインストリームではなくなったとしても根強いファンは多く存在します。
インターネットが普及するようになり、音楽も様変わりしました。
今やPCで音楽を制作するのは当たり前のことですが、ロック全盛期のころはそうではなかったのです。
ロックが最も盛り上がっていたのは1980年代から2000年頃まででしょう。
それぞれロックとはいえ少しずつジャンルは違いますが、ニルヴァーナやレッド・ホット・チリ・ペッパーズやオアシスなど、世界中を巻き込むようなブームを起こしたバンドもたくさん登場しました。
そうした時代のロックスターは浴びるように酒を飲み、薬物に頼るという姿が一般的だったのです。
口の悪さで有名なオアシスのノエル・ギャラガーは「ヤクは朝の紅茶みたいなもの」と公に発言して大問題に発展したこともありました。
アルコールや薬物の力を借りなければならなかったのは
そういった時代のロックスターの姿を体現しているのがジェイクです。
ジャクソンのモチーフになっていると思われるニルヴァーナのヴォーカリスト、カート・コバーン(実際に脚本家はカート・コバーンの影響があったと語っています)。
彼も例にもれず薬物とアルコールに溺れていました。
またそうでないといい曲が書けない、といった強迫観念も当時のロックスターにはあったといいます。
ジャクソンは基本的に人付き合いが苦手で口数の少ない内向的なタイプのように描かれています。
ですがスタジアム級ライブを行うようになるとそういうわけにはいきません。
否が応でも社交的にならざるを得ませんし、レコード会社の意向などで音楽的にも思い通りにできないことも増えてくるでしょう。
自分らしくいられない状態で無理し続けていると精神的に無理が出てくるかもしれません。
劇中では明らかにされていませんが、ジャクソンにもおそらくは精神的な問題も抱えていると察せられるシーンもありました。
そうした部分を補うためにアルコールや薬物の力を借りていた、という背景も見えてきます。
アリーの存在が体現するテーマ性
レディー・ガガが演じるアリーは才能豊かな女性です。
彼女はジャクソンはに出会ったことによってスターへの道が開けることになりますが、逆にジャクソンははアリーに出会ったことがきっかけのように破滅への道を辿ることになります。
この映画はアメリカンドリームをテーマにした映画のようでもありますが、アリーの存在がこの映画にもたらしたのは「愛」と「時代の移り変わり」でしょう。
二人の愛の在り方
アリーはジャクソンをチャンスの踏み台にするのではなく、彼を愛しました。そんな彼女をジャクソンもまた、愛しました。
ビジネスライクな関係を保っていれば、お互いにここまで苦しむことはなかったのかもしれません。