そうして初めて階段(梯子)をジェイコブは上れたので、安らかな死に顔のシーンへとつながりました。

『Jacob’s Laddar』死を受け入れる過程はジェイコブだけのもの

『ジェイコブス・ラダー』は先述したヤコブの梯子と解釈できます。

ただし、作中内で「ラダー」はベトナム戦争で使われたとされる薬(幻覚剤BZ)として出てきます。

結局、映画ラストでは薬の正体(幻覚剤BZ)は不明とされていますが、それならばなぜ「ラダー」を出したのでしょうか。

そこに本作の意味と、タイトルのもう一つの意味がうかがい知れます。

無理やりにでも納得しないと悪夢は続く…

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ジェイコブは「ラダー(薬)」を味方に盛られたため死んだ、と死因を突き止め自身の死を受け入れます。

しかし、それは無理やりジェイコブが「思い込んだ」とも取れるほど、矛盾に満ちたシーンが映し出されました。

  • ジェイコブはラダーを飲んで狂乱した味方に殺されたとするが、ラストの野戦病院ではジェイコブしかいない
  • 味方にラダーを混入する実験をするくらいなら、戦争相手に仕掛けるのが妥当であり得ない考え方

この二つのシーンや状況からも、ジェイコブは味方に殺されたわけでもなく、敵襲によって殺されたと考えるのが妥当です。

しかし実際のジェイコブは、あまりにも唐突な敵襲だったため自身の死を理解できませんでした。

しかし悪夢から解放されるためには、死因を理解しなければなりません。だからこそ無理やり味方に殺されたと思い込みました。

無理やり思い込みをするために、長い時間悪夢にうなされたというわけです。

つまり、結局ジェイコブは本当の死因を分からず死んでいると考えられます。

死を受け入れるための悪夢と悪魔

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本作は数々の不気味な悪夢を見る、ジェイコブの心境の変化を描写した映画です。

悪夢中に現れる、不気味なものの数々は「死」を表していると考えられます。

ベトナム戦争で敵襲にあったジェイコブは、その時点で死んでいるということは先述しました。

しかし、魂はさまよい続けており、自身の死を受け入れていません。

死を受け入れるためには、夢の不気味なものを受け入れる必要があります。

不気味なもの(死)を受け入れることが「ラダー(梯子)」を上る条件で、条件に満たさないと悪魔に魂を連れ去られてしまうのです。

つまり「ジェイコブ自身が自分の死を受け入れてこその梯子」。

タイトルのJacob’sに所有を表す「’s」が入っているのは、ジェイコブが解決すべき、彼自身の梯子という意味でもつけたれたのです。

ベトナム戦争から見る『ジェイコブス・ラダー』

​泥まみれの死―沢田教一ベトナム写真集 (1971年)

映画冒頭で敵襲に遭うのは、舞台がベトナム戦争だから。

ベトナム戦争はアメリカが「負け」た衝撃的な戦争で、アメリカ本土で一気に反戦ムードを盛り上げた戦争です。

また、ガスや薬といった残忍な戦法が取られた戦争でもあったため、後世でも反戦を掲げてベトナム戦争を舞台とした映画が製作されました。

反戦という視点から見たとき、本作の「ラダー」をさまざまな意味で解釈できます。

薬としてのラダー

​枯葉剤は世代をこえて ベトナム戦争と化学兵器の爪痕

マイケル・ニューマンによってラダーの存在が明かされます。

「階段から転げ落ちる」意味からつけられたラダーは、軍が開発した薬(化学兵器)だったのです。

幻覚剤BZがベトナム戦争で事件的に使用されたと言われたが、国防省は否定した

引用:ジェイコブス・ラダー/配給:トライスター・ピクチャーズ,東宝東和

映画の最後のカットで幻覚剤BZの存在について触れられます。

そもそもベトナム戦争では、枯葉剤のDDTなどの化学兵器が使用されました。

つまりBZに限らず、化学兵器を使用する戦争への反戦の意志を込めて製作側は「ラダー」と名付けたのです。

死の象徴としてのラダー

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戦争は死と常に死と隣り合わせ。

ジェイコブはゲイブと一緒に階段を上り、死を受け入れました。つまり本作でのラダー(階段、梯子)は死の象徴なのです。