出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B00450MNDS/?tag=cinema-notes-22
『名探偵コナン 天空の難破船』は劇場版コナンシリーズの14作目です。
本作は、最近話題のプライベートジェットよりもさらに優雅さが漂う現実離れした天空の密室で事件は起こります。
怪盗キッドVS鈴木財閥の対決に加え、バイオテロの予告などコナンファンにはたまらない展開です。
現実でも同じような状況が発生するのでは?と連想させる緊張感溢れる展開といえるでしょう。
また、この作品は名探偵コナンシリーズの中でも珍しい殺人事件が起きないストーリーです。
殺人バクテリアが使われなかった理由や、蘭と新一とキッドの三角関係を思わせる展開…。
「天空の難破船」の中で起こったさまざまなエピソードの真意に迫っていきましょう。
天空の難破船
まず表題ですが、天空という優雅で美しい言葉が使われています。
そして「難破船」という”海の座礁船”をイメージさせるような不穏な言葉…。
全く異なる雰囲気の言葉を繋げた表題といえるのではないでしょうか。
飛行船の中で起こる事件は人々の恐怖を煽るものでした。
絵画に「難破船」というターナーの作品がありますが、自然の脅威に翻弄される人間の姿を油彩で劇的な表現で描いた絵画です。
本作も人々が飛行船内、さらには殺人バクテリアがまかれるかもしれないという恐怖や脅威を感じ、翻弄される人間の姿を描いているのです。
犯人たちがウィルスを使わなかった理由
本作は複数の事件が重なって起きています。
表向きの事件はテロリストのバイオテロですが、実際には飛行船の中でバイオテロは起きていません。
実際起きた事件はバイオテロの恐怖に翻弄される人々がいる地上、という練られた構想が魅力的です。
真の目的の為に伏線を重ねたテロリストの細工は、普通に観ているだけでは気づけないかもしれません。
細菌研究所の爆破のはカモフラージュ
テロリストが殺人バクテリアを奪うだけなら、細菌研究所を爆破する必要はなかったはずです。
爆破は他の目的を遂行する為であり、世間の目を惹きつけなくてはいけないという複雑な理由があったのです。
この爆破がその後の展開の大きな伏線となっています。
テロリストの思惑通り観る者を巻き込んで、混乱と緊張感がみなぎる展開になりました。
テロリストは真の目的があった
テロリストは殺人バクテリアも手元にはなく、初めから使うつもりはなかったといえます。
彼らの目的は奈良の仏像を盗むことですが、無駄な犠牲をはらわずに盗みだけを遂行したかったのでしょう。
カモフラージュにカモフラージュが重なり、コナンがひとつひとつ紐解いていく展開は秀逸です。
犯人が巧妙に練った計画や目的に気づけたのですから「さすが名探偵コナン」の一言に尽きます。
コナンが追いつめた犯人の動機
お金を盗むよりも仏像のほうがさばきやすいし、すぐにお金になる
引用:名探偵コナン 天空の難破船/配給会社:東宝
犯人が窃盗を犯した理由は上記のように語られています。
窃盗シーンよりも、壮大に練られた飛行船でのバイオテロのシーンのほうが非常に印象的です。