ラストでアメリアに計画を阻止されるまでは、ほとんどリチャードの勝ちでしたし、ある意味リンカーンを追い詰めたとも考えられます。
リンカーンに生きる希望を与えないと、殺す意味がない
リンカーンは事故以来自殺願望を持っていました。
医療技師としてリンカーンに近づいたリチャードでしたが、自殺願望を持っているリンカーンを殺しても意味がありません。
だからこそ、あえて証拠を現場に残し、『ボーン・コレクター ある殺人者の記録』通りに殺人を進めるのです。
おそらく元警官であったため、完全犯罪も可能です。
あえてそうしないのは、足跡をリンカーンに辿らせることで生きる希望を持たせるためでした。
実際にリンカーンが病床で寝ながら捜査を進める姿を確認し、リチャードは最後の復讐にかかろうとしています。
本を使用したのは復讐の手段であって、本を狂信しているわけではない
本の中に出てくる殺人者は、狂信的な人物と言えます。
しかし、リチャードはあくまで「リンカーンへの復讐」が目的です。本の通りに殺人したのは、ただの手段だと考えられます。
だからこそ、リンカーンを殺害しに行くとき、セルマとチェイニーにも手をかけるのです。
セルマとチェイニーの殺害は本に書かれてはいません。もし狂信的な本の信者であれば、その二人は殺害しないはず。
そう考えると、やはりリチャードにとって本の存在はリンカーンをおびき出し、希望を持たせて殺すための手段だったと考えらえます。
セルマとチェイニーは生きているのか?死んでしまったのか?
では、次にセルマとチェイニーについて考察していきます。
功名心バリバリで、捜査を混乱させてきたチェイニーはともかく、献身的にリンカーンを支えるセルマは生きていて欲しいです。
そこで考察する材料として、以下の点から考察します。
- セルマとチェイニーが襲われた前後の様子
- 原作『ボーン・コレクター』(ジェフリー・ディーヴァー著)との比較
- 映画特典映像の証言
セルマとチェイニーが襲われた前後の様子
まずはセルマとチェイニーが襲われた様子を見て、二人の生死について考察していきます。
とくにリチャードが使用した武器やアメリア登場後のアメリアの行動が、考察する上でのヒントです。
腹部を刺される死亡率
リチャードはリンカーンの元へナイフを持って登場しました。そのナイフでセルマとチェイニーは襲われているのです。
二人が刺されたのは「腹部」でした。
医学的観点から見たとき「腹部切開は死亡率が低い」というのは常識です。
その観点から見て、リチャードが二人を襲ってリンカーンの元に訪れるのに時間はそこまでかかっていません。
時間から考えて、執拗に何度も刺されているとは考えにくく、二人もいるのでなおさらです。
ナイフという点と、腹部を刺したという点からは二人がすぐに死亡したと考えにくいことが分かります。
アメリアが救急車を呼んだ
リチャードが残した現場証拠から、アメリアはリンカーンの家へと急行し、リンカーンをぎりぎりのところで助けます。