完全に小物として描かれています。
仕事に愚直な男、ウォルター
悪役のテッドに反してウォルターは、時々妄想にふけってしまう以外は極めてまじめです。
そして、写真を管理するという地味な仕事を16年間誠実に勤めていました。
しかし、そんな愚直さはショーンなどの一部の人たちを除いてあまり評価されませんでした。
口下手なため自身の仕事への情熱を語ることもできずにいるという、テッドとは正反対の人物です。
ウォルターの言葉でテッドにも変化が
以上のように対称的な二人ですが、ウォルターはグリーンランド、アイスランド、アフガニスタンでの旅の中で数々の冒険をして帰ってきました。
もう、昔の妄想の中だけでテッドに反撃していたウォルターではなくなっています。
標語すら覚えていないテッド
写真を渡したウォルターはテッドにLIFE社の標語を尋ねます。
しかし、それに対してテッドは答えることができず。あろうことかマクドナルドのキャッチコピーを言い出しました。
ここでも成長したウォルターに対して、全く変わっていないテッドの様子が描かれています。
テッドの目を覚まさせた言葉
相変わらずのテッドに対し、ウォルターは言います。
外部からやってきた君が首を切った社員は標語を信じ命がけでLIFEを守った
引用:LIFE!/配給会社:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
そして次のようにも言いました。
嫌な奴にはなるな
引用:LIFE!/配給会社:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
このような発言はこれまでのウォルターではありえないことで、彼による冒険の集大成だといえます。
それに対して、テッドは硬直したまま、なにも言い返すことができませんでした。
写真に込められた「真髄」とは
ウォルターが去ったあと、テッドはショーンの写真を見たはずです。
この写真はショーン自身がLIFEの真髄だと言っていることをテッドは知っています。
きっとなにか凄いものが写っていると思っていたのではないでしょうか。
しかし、実際に写っていたのは自分がバカにしていたウォルターの、真摯に仕事と向き合う姿です。
この写真を見たことと、ウォルターの言葉が重なり、テッドの心を変えたのではないでしょうか。
そう考えると、嫌いなウォルターの写真をテッドが表紙に採用したことも納得できます。ウォルターの変化がテッドの変化をも促したのでしょう。
表紙の言葉は贖罪か?
映画のラストシーン。会社を首になったウォルターとシェリルは、街中でLIFEの最終号を見かけます。
そしてその表紙には次のような文字がありました。
これを作った人々に捧げる
引用:LIFE!/配給会社:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
この雑誌が出ているころには、かつてLIFEを作っていた人のほとんどは首になっているはずです。
しかも、リーダーはあのテッドなのであまり気の利いたキャッチコピーは出てこないように考えられます。
ところが、実際の最終号にはこれまでLIFEを作ることに命をかけた人々に対する敬意が見て取れます。
テッドの意思に反するコピーは掲載できないはずですから、このコピーをテッドが認めたということです。
あるいはこのコピー自体テッドが考えたというのは考えすぎでしょうか。
もしそう考えられるとしたら、このコピーは多くの社員の首を切ったテッドの贖罪なのかもしれません。