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観る者に苦痛と陰鬱とした感情を抱かせるが、不思議な魅力を兼ね備え度々鑑賞したくなる映画に魅力を感じる人も多いのではないでしょうか。
その代表作として、2012年に公開されたラース・フォン・トリアー監督の「メランコリア」が挙げられます。
本作では鬱病を通して「破滅」をひとつのテーマとしているのが特徴です。
癖の強い登場人物が多く描かれているため映像美の中にも終始仄暗さを感じます。
その中でも唯一良識もありキャラクターとして描かれていたのが、姉のクレア(シャルロット・ゲンズブール)夫婦とその息子レオたち家族です。
しかし、至極真っ当な人間として描かれていたジョン(キーファー・サザーランド)は自殺し、クレアは徐々に情緒不安定となっていきます。
そして、運命に翻弄されたクレアは、レオとともに主人公ジャスティン(キルスティン・ダンスト)と最後の刻を一緒に過ごすのです。
作中でも語られないジョンの自殺の理由と、ジャスティンは最後の刻をクレアとレオの2人と過ごした理由。
この2柱を軸に考察していきたいと思います。
ジョンの自殺の真実
ジョンの立ち位置
まず、キーファー・サザーランド扮するジョンの立ち位置について理解しておくことが重要です。
ジョンは愛する妻の妹の結婚式の為に、お城のような結婚式場を貸し切り、披露宴を主催するため多額のお金を出しています。
本人も「大した金額ではない」と言っているのでかなりの資産家なのでしょう。
さらに天体についても知識があり、機転もきく頭の良い男性に描かれています。そして何よりも家族思いです。
しかし、妻クレアの家族に対しては良い印象を持っておらず、されど大事な妻のお願いごとでもあるので、両家の板挟みな立ち位置にいました。
クレアの母親とジャスティンに対する怒り
板挟みを感じるジョンへの試練のような出来事が続くのも重要なファクターです。
せっかく主催した結婚式で花嫁は2時間の大遅刻。
母親のスピーチは夫とジャスティンの決断をなじる最悪なもので式の最中に度々失踪する花嫁。
全体イベントでは母親も自室に戻ってしまう…。
ジョンのフラストレーションは徐々に溜まっていきます。
挙句、新郎新婦のケーキ入刀では、ジャスティンと母親はそれぞれ自分の部屋でお風呂に入っていて出てこない始末。
これにはジョンの怒りも限界を超え、「あのくそアマども」と妻クレアに怒りをぶちまけます。
第1部と第2部の対比の中でのジョンの変化とは
さらに、考察に際し重要なのが、映画「メランコリア」としての描き方です。
第1部では鬱病を患っているジャスティンが奇行を繰り返し、ジョンを始め周囲の人間たちがとにかくジャスティンをフォローしていきます。