夢を語り合うこともソ連軍の任務中にはできなかったのでしょうか。

軍や思想に縛られないアメリカの暮らしを羨望(せんぼう)のまなざしで見ていたのかもしれません。

亡命にかかわる2つの破壊工作

爆発

亡命を妨害しようとする破壊工作により、順調に潜航していたレッドオクトーバーが危険にさらされます。

破壊工作はなぜ起こったのか、事件の影響がその後の航行にどう影響したのかを、ラミウス艦長の思惑を交えて考察してみました。

謎の破壊工作でキャタピラー故障の危機

レッドオクトーバーには、あらかじめソ連軍の工作員が乗船していました。

軍医ペトロフと料理長ロガノフは、プーチン政治士官の殺害時に現場に居合わせていてラミウス艦長の行動に違和感を感じています。

後に料理長が実行犯と判明しますが、彼らはラミウス艦長の動向を監視していたのです。

軍から送り込まれたスパイが、ラミウス艦長の亡命に感づいて破壊工作を画策したとも考えられます。

ラミウス艦長は最初の段階でうすうす気がついていたのかもしれません。

工作員は、内部温度が上昇しキャタピラーが破壊されるよう破壊工作。

影響は大きくキャタピラーの修理が必要になったため、容易にレーダーで捕捉されるようになり放射能の危機にもさらされました。

乗組員はラミウス艦長に不信感を持った

ラミウス艦長は、レッドオクトーバー出航前にパドーリン提督に、亡命の意思を伝える手紙を書いていました。

目的は亡命する士官の士気を高めるためですが、ラミウス艦長には、後戻りはしないという不退転の決意を固める考えが窺えます。

ラミウス艦長にとって想定外だったのは、キャタピラーの修理中のソ連の実弾攻撃に驚いた乗組員が不信感を持ち始めたことです。

亡命の意思を知らない乗組員が不安に思うのも無理はありませんが、乗組員の退艦を急ぐ必要が出てきました。

破壊工作を利用するラミウス艦長

綿密に計画されたアメリカ亡命のシナリオの重要課題のひとつに、乗組員の退艦があります。

亡命を悟られずに実行する必要があるため、破壊工作の首謀者も騙さなければなりません。

ラミウス艦長は、タイミングを計って破壊工作の時の危機を逆手に取ったのです。

偽の放射能事故で全員を逃がし、自らは自沈すると軍医ペトロフに告げ乗員と一緒に行くように命じます。

この時すでに、軍医ペトロフが情報を漏らしているらしいことをラミウス艦長は感づいていたようです。

レッドオクトーバーの動きに困惑するアメリカと亡命説を主張するジャックライアン

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レッドオクトーバーに対応するアメリカではあらゆる情報が交錯して混乱状態でした。

打開したのは中央情報局(CIA)分析博士のジャックライアン。

ジャックは、レッドオクトーバーはアメリカ攻撃ではなく、亡命を望んでいると主張しました。

レッドオクトーバーの動きにアメリカは混乱した

キャタピラーを搭載したレッドオクトーバーの動きは、冷戦時代が終わると踏んでいたアメリカにとって脅威でした。

レッドオクトーバーも含めソ連の主要艦が集結しているのです。

アメリカは、冷戦時代の決着のための戦争が一触即発の状態であると危惧します。

一方、ソ連がレッドオクトーバーの撃沈命令を出している情報は、アメリカにとって混乱のもとでした。

レッドオクトーバーの意図が理解できないアメリカは、核戦争の危機を憂慮するだけで手詰まりだったと思われます。

統合参謀会議の席上では反発も受けますが、ジャックの亡命説は本音はアメリカが望む形だったかもしれません。

亡命が事実なら軍事的にも政治的にもアメリカは優位に立てる

アメリカは、キャタピラーの技術開発に失敗していました。レッドオクトーバーを得られれば新しい技術が獲得できます。

統合参謀会議の後、大統領補佐官ジェフリーペルトがジャックと個別に話したのは亡命の可能性を探るためです。