具体例を1つ挙げ、現実・妄想・妄想の妄想の世界を行き来する条件を考察します。
妄想世界で売春館から逃げ出した痕跡が現実世界にも残っている
妄想世界の売春館で暴れまわり、ベイビードールたちはそこからスイートピーを逃げ出させました。
そして現実世界に戻るロボトミー手術が終わったときのシーン。その病院内は何かが暴れたような痕跡が残っています。
実際スイートピーは精神病院からも抜け出しているので、これは妄想世界と現実世界がリンクしていることの証拠です。
現実が辛いので妄想へ、でも現実とリンクしているから妄想の妄想へ
現実世界で精神病院に入れられ、ロボトミー手術が5日後に迫っているため、ベイビードールは不安と焦りに駆られます。
そしていよいよ手術直前になって、妄想世界へ逃避しました。しかし、その妄想世界は売春館。
現実と妄想世界がリンクしているならば、売春館で踊るときは現実世界でも性的な何かをされている時と考えられます。
そして売春館でも結局は性的な目線を向けられているので、それに耐えられずベイビードールは妄想の妄想へ逃げ込むのです。
ベイビードールが性的な被害に遭っている間は、他の仲間たちが脱出のためのアイテムを現実世界・妄想世界で探します。
妄想の妄想世界では、ベイビードールも含めて全員で戦っている様子を表しているのです。
バスの運転手は一体誰なのか?見たことある顔だけど…
映画ラストのスイートピーが精神病院から抜け出す場面。スイートピーを助けに急に現れたバスの運転手は一体誰なのでしょうか。
実は何度かその運転手は映画内でも登場しています。
バス運転手はワイズマン(賢者)
実はバスの運転手、ベイビードールたちを助けるワイズマン(賢者)は同じ俳優です。
賢者/バスの運転手 – スコット・グレン
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/エンジェル ウォーズ
Wikipediaには賢者とバスの運転手が同じ俳優(スコット・グレン)と紹介されています。
妄想の妄想世界で少女たちを助けてきたのは人物は、現実世界にもいるのでした。
そうなるとスイートピーを助けるシーンがベイビードールの妄想なのではないか、と思うところ。
しかし、先述したように舞台がどこかによって、どこの世界にいるのかは区別されています。
このシーンの舞台は精神病院なので、現実世界と考えてよさそうです。
ワイズマンがバス運転手として登場することは映画冒頭で予言されていた
スイートピーが逃げ延びるため、最後に誰が助けてくれるのかは映画冒頭で予言されていました。
「誰にも天使がいる。守護天使が見守っている。様々な形に姿を変えて。ある日は老人。次の日は少女。」
引用:エンジェル ウォーズ/配給:ワーナーブラザース
セリフから、老人=ワイズマン=守護天使であることが分かります。だからこそ、バス運転手として登場するのです。
ついでに少女=ベイビードールと考えられます。ワイズマンもベイビードールも結局スイートピーをにとっての天使なのです。
複雑な世界観、妄想は製作側からの挑戦状
映画のエンドロールに入る直前のナレーションには、製作側から観衆に対して挑戦状が投げ出されます。
「必要な武器は全て揃っている、さぁ戦って。」
引用:エンジェル ウォーズ/配給:ワーナーブラザース
- 現実・妄想・妄想の妄想の行き来をする複雑なストーリー
- 夢オチのようにも思えるラスト
- 妄想世界の人物(ワイズマン)が現実世界に登場
非常に複雑な考察が入り乱れる本作といっても、映画内にヒントは散りばめられているとザック・スナイダー監督は語ります。
観衆は映画ストーリーという「武器」を持ったので、自分でストーリーを考察することを製作側は狙っているのかもしれません。
ストーリーを考察することが、観衆にとっての戦いなのです。