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“The Great Gatsby”は、アメリカ文学を代表する作家F・スコット・フィッツジェラルドの代表作です。
数多くの映画監督が、過去に映画化していますが、2006年のバズ・ラーマン監督、レオナルド・ディカプリオ主演の作品が一番新しいです。
今回は、バズ・ラーマン版の豪華絢爛な映像を楽しみながら、F・スコット・フィッツジェラルドが表現したかったことを考えていきます。
大恐慌前のアメリカが舞台
大恐慌が発生したのは1929年ですが、F・スコット・フィッツジェラルドが”The Great Gatsby”を出版したのはその4年前です。
バブルがはじける前の好況に湧くアメリカで、人々はどのような暮らしをしていたのでしょうか。
毎晩のように浮かれ騒いでいる人々の様子が、ギャツビー邸でのパーティで表されているのでしょう。
アメリカという国は移民の国なので、一旗あげてやろうという成り上がりの精神が強い人たちが多いといわれています。
そんな、伝統や文化と一番遠い人たちが、お金を持つと、乱痴気騒ぎにふけることくらいしかないのです。
ニックもウォール街で働く、証券マンですが、あとでこの騒ぎを振り返って書き留めるくらいですから、狂乱をどこか冷めた目でみていた一人でしょう。
これはギャッツビーの純愛の物語なのか
作家の村上春樹氏もたびたび、本作を取り上げていますが、これは単なるギャツビーの恋慕の物語ではなく、秀逸な文学作品なのです。
古典文学に繰り返し描かれてきたような、野心のある成り上がりの男と上流階級の女の一種の暇つぶしの恋愛と、階級闘争が表現されています。
過去にギャツビーを演じたロバート・レッドフォードも、レオナルド・ディカプリオも、その麗しい面持ちで人を酔わせます。
見ているものは、その顔や一途な行動に、美しい容姿を拡大解釈して純粋な愛だと信じたくなりますが、野心に裏打ちされた恋でもありました。
現に、ギャツビーには裏の顔があり、その激しさが時折表に出てきます。
身近にいるものは、楽しめている間は見て見ぬフリをして、彼の美しさと恋の美酒に酔い続けているのです。
女に振り回されるのが男のロマンと言うが…
男性は、小悪魔のような女性に惹かれ、悪いとわかっていてもその後を追いかけ、振り回されたいものだといわれます。
これは実は、男性の自己証明欲求の現れであり、そうしている自分が、余裕のある器の大きい男だという自己証明の気持ちが隠れているのです。
トムのような由緒ある資産家の息子か、大金を手にしたギャツビーなら、難関不落の女性に挑むのは自然なことでしょう。
聖女なのか悪女なのか
では、小悪魔ティジーは、どんな女性なのでしょうか。
ギャツビーがいながら、トムと結婚してしまうのは、計算高い女だと考える人もいるかもしれません。
それとも、お嬢様だから意に沿わない運命を受け入れる可哀想な女性なのでしょうか。