しかし、ホワイトボードにランキングが張り出されるのを見るだけでは、その重要性やイメージが十分に伝わりません。
そこで、漫画を使ったバトルシーンとして演出することで、その重要性やイメージの補填をしたと考えられます。
アンケート順位の低下と逆転ヒロイン
アンケート順位が良かったのは最初だけで、徐々に順位は下がっていってしまいます。
担当編集の服部にテコ入れを提案されたシュージンは、サイコーが書いた小豆のデッサンを服部さんに見せました。
このシュージンの提案はテコ入れだけでなく、サイコーのやる気も上げる提案だったと思います。
登場させるヒロインが魅力的に描けないということは、小豆は魅力のない人ということと一緒です。
そのため、ヒロインを書くサイコーの絵にはこれまで以上に力が入っていたと思います。
もちろん、シュージンの書くヒロインの登場シーンも順位を上げる要因となったと思います。
ですが、サイコーの絵がアンケート順位が上がったことの主要因であるのは間違いないでしょう。
エイジが手を加えた原稿にサイコーが涙をこぼした理由
病気の苦痛に耐えながら絵を描くサイコーの原稿のヒロインに、突然来た新妻エイジは線を書き足したり、汗を書き足したりします。
この行為にサイコーは涙を流し「俺以上にこの漫画をうまくかける人間がいるわけがない」と言い、新妻エイジを睨みます。
この時のサイコーの心情はどういったものだったのでしょうか?
漫画家としてのプライド
自分の絵に手を加えられるのは、製作者として我慢ならないものがあります。
手を加えられた相手が担当編集ではなく、ライバル視している新妻エイジだということもその気持ちはより一層大きいものにしているでしょう。
また、病気の痛みもあっての作業で、サイコーの描いた絵が本調子ではないことの悔しさもあったと思います。
しかし、このシーンで注目すべきはサイコーだけではなく、ライバルである新妻エイジもでしょう。
その原稿を一目見て理解し、やる気にさせた新妻エイジはサイコーやシュージンと一線を画す、プロなのだなと感じさせられるシーンでもあったと思います。
結果としては「金知恵」が最初にアンケートで1位を取りましたが、新妻エイジとの力量差を感じずにはいられません。
小豆を重ねたヒロインへの想い
新妻エイジが手を加えた原稿がヒロインの絵だったこともサイコーに涙を流させた理由の1つでしょう。
ヒロインのモデルは小豆です。
サイコーは小豆のデッサンをずっと続けてきたこともあり、絵に自信のあったキャラでしょう。
そのヒロインに対してダメ出しをされ、線を書き足される屈辱は想像に難くありません。
さらに、ここでまた新妻エイジの思惑が見えます。
今までのサイコーの絵とは描いた時間が違うヒロインのクオリティの高さを新妻エイジが分からないわけがありません。
ヒロインにかける思いの強さを新妻エイジも感じていたでしょう。
ヒロインに手を加えることは、サイコーに本気を出させるための新妻エイジなりの優しさだったのではないでしょうか?
漫画連載を助けた【友情・努力・勝利】
病院から脱走し、無理を押して漫画を描いていたサイコーとシュージンですが、2人では原稿の納期が間に合いませんでした。
それを助けたのは、ライバルであったはずの連載漫画家たちです。