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リーアム・ニーソン演じるネルズの行動で、勘違いが繰り返され麻薬組織が壊滅する物語を描いた『スノー・ロワイヤル』。
勘違いに勘違いが重なり展開するストーリーに、ダークな笑いを感じつつも勘違いがなぜ連鎖するのかが気になります。
結局終盤にはネルズが騒動に関わっていたことが分かり、ホワイトブルは除雪車内でネルズに銃を向けますが、ネルズは除雪車を走らせ続けます。
普通なら何かしらの反応を見せるところ、ネルズが反応しないのはなぜでしょうか。
さらには映画の特徴の一つでもある、死人の告示シーン。
実は死人の名前を告示するのには、本作がダークユーモアな作風であることが大きく影響しているようです。
これらの点を考察すれば、笑いを求める本作の徹底ぶりが垣間見えます。
麻薬王バイキングの人柄
非常に健康的な考え方を持つ麻薬王のバイキングが、本作の勘違いの一番の元にいると言っても過言ではありません。
麻薬組織の長のイメージとかけ離れたその人柄に、シュールな笑いを感じます。実はバイキングの人柄に勘違いの真相が隠れていました。
バイキングの人柄1:猪突猛進
ギャングを取り締まるリーダーであるから、仕方のないことですがバイキングはかなり猪突猛進タイプです。
かなり健康志向な様子で、子どもに曜日と食材を指定し強制する様子は異常と感じるほどの内容でした。
自分の考えが正しいと思うとバイキングは止まりません。手下がネルズに殺され、ホワイトブルだと思ったバイキング。
その考えは、猪突猛進な性格なため映画の終盤になるまで変わりませんでした。
猪突猛進な性格なために、一度やった勘違いが勘違いの連鎖がつながってしまったのです。
バイキングの人柄2:ネイティブアメリカンへの差別意識
バイキングは父親からの因縁のある、ホワイトブルを疑います。
その疑いの理由にはホワイトブルがネイティブアメリカンという、ネイティブアメリカンへの差別意識もありました。
だからこそ、きちんと調査をしてネルズにたどり着く前に、ホワイトブルへの敵意を抱くのです。
実は原作である『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』では、ノルウェーを舞台としてノルウェー人以外の人が差別に合うシーンがあります。
本作はそのアメリカ版リメイクであるため、差別対象がアメリカで問題となったことのあるネイティブアメリカンに向けられました。
つまり先入観が強く猪突猛進型のバイキングは、ネイティブアメリカンへの差別意識を持っており、そのために早とちりの判断をしたのです。
勘違いが「ダーク」を「ダーク・コメディ」にする
本作品は何人もの人数が殺されていながらも、なぜか笑える要素がいくつか用意されています。
その一つが映画コンセプトでもある「勘違い」。勘違いであることを知っている人(観衆)から見れば、知らない人が滑稽に映ります。
ダークコメディを推している本作です。バイキングが率いる麻薬組織の勘違いから事はスタートしました。
殺しの連続だとただの「ダーク」な映画。そこに勘違いを加えることで、ダークをダークコメディに昇華するのが製作側の狙いです。
復讐が生きる目的。ネルズが復讐を遂げると…?
模範市民賞を受賞するほど生真面目だったネルズですが、息子の殺人をきっかけに豹変しました。
目的は殺人に関わった人たちへの復讐。しかし、ホワイトブルに銃を向けられた時には、すでに復讐が終わった段階でした。
銃を向けられても除雪車を運転し続けた理由は、それらの状況から見えてきます。