ところがこの時点になると、極めてプラトニックな、精神的な面での愛に成長していることが読み取れます。
こういった歌詞に込められた深い愛も、ラフィーナの気持ちを動かす大きな理由になったといえます。
二人の旅立ちを喜ぶ兄の愛
ギグが終わった後、2人は兄のブレンダンに見送られイギリスへ渡りました。
その場面でブレンダンは自作の詞をコナーに手渡しています。
なぜブレンダンはこんなことをしたのでしょうか。
それを読み解くことで兄から弟への深い愛が見えてきます。
弟のために全てをあきらめた兄
ブレンダンは大学を中退し、仕事もせず、好きな音楽を聞いてはウンチクを語っているだけの男です。
しかし、彼は彼なりに家族を維持しようと奮闘していました。
ロウラー家は両親の離婚が決定していますが、家庭が崩壊していたのは昔からです。
それはブレンダンの
連中の異常さは20代後半からだ
引用:シングストリート 未来へのうた/配給会社:ギャガ
という言葉からわかります。
なぜ、ブレンダンはこんな家庭環境でも耐え続けたのでしょうか。
それはコナーのためです。彼はひどい家庭の中で、コナーに音楽を教え励ましてきました。
それがわかるのが最後のシーンで渡される自作の詞です。
歌詞はいつから書き始めたのか
ブレンダンは旅立ちの際に詞を贈りますが、一体いつから用意していたのでしょうか。
劇中では明確にいつから書き始めたという描写はありません。
しかし、ギグが終わってコナーがブレンダンの部屋に来た時、何かをノートに綴っています。
文字は見えにくいですが、これが最後に手渡した詞でしょう。
おそらく、コナーに対しての嫉妬や怒りをぶつけてしまった直後から、この時の間に書いていたと考えられます。
弟に夢を託す兄の姿
詞を渡した直後、ブレンダンは
ある男女の話だ、いつか曲をつけてくれ
引用:シングストリート 未来へのうた/配給会社:ギャガ
と頼みました。
この男女とはもちろんコナーとラフィーナでしょう。
そして、2人が海を渡っている間に流れている歌はこの詞です。
この歌の内容から、ブレンダンは本気で2人の旅立ちを祝福していたことがうかがえます。
よく、旅立ちに際して祝辞が送られますがこの詞は兄から弟への祝辞のつもりだったのでしょう。
そしてブレンダンはコナーに
俺の代わりに
引用:シングストリート 未来へのうた/配給会社:ギャガ
と付け加えています。
コナーたちが旅立った後、ブレンダンはどうなるでしょうか。
今のところ彼の人生に希望は見出せません。