ラドンがゴジラにエネルギーを与えた理由
ベビーゴジラの卵が眠っていた島でゴジラとラドンは卵を巡り戦いました。
どちらにとってもベビーゴジラは現在に唯一生き残る遠い過去の同胞だから。
それは人間が赤ん坊を可愛がるのと同じ思いです。
その共通する思いがあったからこそラドンはゴジラにエネルギーを与えたと推測できます。
メカゴジラの攻撃を受け死が目前に迫るラドンにはもうベビーゴジラを守る力は無い。
ベビーゴジラを守ることができるのはゴジラだけなのだとラドンが認めた。
この場面には、托卵という関係で共生していた遠い昔のゴジラザウルスとプテラノドンの繋がりを想像することもできます。
かっての恐竜から怪獣に変化してしまっても、彼らもまた地球に生きる生命体だというメッセージを感じ取れます
メカゴジラの勝敗を分けた「命」
敗北するメカゴジラ。それが訴えるものとは何なのでしょうか。
機械の限界
ラドンのエネルギーを得て復活したゴジラはパワーアップした熱線でメカゴジラを倒します。
メカゴジラ自慢のボディもラドンが風化してまき散った灰によってその効力を失っていました。
メカゴジラは確かにゴジラより強かった。
しかし、結局のところ機械であるが故に設計された以上のパワーを出すことができない。
予想外の事態に対応することもできない。
そのことはゴジラとの初対決の時に既に描かれていました。
ゴジラに打ち込んだショックアンカーから電流が逆流し機能不全に追い込まれるメカゴジラ。
敗北の理由は機械というメカゴジラの存在そのものだったことは、人類からすれば皮肉な話です。
命が起こす奇蹟
ゴジラに敗北した後、メカゴジラのパイロットだった佐々木拓也が言います。
「勝負を決めたのは結局命だったな。」
引用:ゴジラVSメカゴジラ/配給東宝
これは単にラドンがゴジラに与えたエネルギーのことを示しているのではありません。
大切なものを守りたいという思い。
それが起こしたラドンとゴジラの奇蹟。
思いは命ある者だけに宿るものです。
機械のメカゴジラにはそれが無かった。
どんなに傷ついても勝利のために這い上がるということがメカゴジラにはできませんでした。
だからメカゴジラは敗北した。
もちろん実際の生物同士がエネルギーを与え合うということはできません。
しかし、例えば人間も辛い時に家族や恋人を思えば力が湧き出ます。
それも生きているからできること。
メカゴジラの敗北は命ある者の強さを観客に訴えてきます。