出典元: https://www.amazon.co.jp/dp/B084HBLG5P/?tag=cinema-notes-22
こはると三兄妹がボロボロになった家族の絆を再構築する映画「ひとよ」。
兄妹それぞれ異なる母親への想いを持っていますが、中でも特に佐藤健演じる雄二にスポットライトが当てられています。
兄妹が母親を迎え、絆が固く結ばれた瞬間は涙なくしては見れません。
今回のネタバレ記事ではこはるが「ひとよ」に込めた想いと、堂下がこはるを道連れにした理由を考察。
そしてなぜ雄二が記事データを削除したのか見ていきたいと思います。
こはるが「ひとよ」に込めた想い
こはるが「ひとよ」について語る場面は堂下に向けたメッセージですが、彼女の言葉にはそれ以上の意味が込められているように思えます。
作品全体を総括するかの様なこの言葉には、表面をなぞっただけでは分からない複数の受け取り方ができそうです。
堂下にとって特別な夜
もちろん堂下に向けた言葉だったことは確実です。
堂下が息子と過ごしたあの夜は、何事にもかけがえのない「ひとよ」。
それは息子にとって大した意味がなくとも、父親である堂下にとっては特別だったはずです。
だから息子になんと言われようが自分の想いを曲げるなと、こはるは自分の境遇に重ねて諭したのでしょう。
こはるにとって特別な夜
こはるは堂下に語っているようで、自分自身に言い聞かせているシーンにも見えます。
彼女にとって特別な夜とは夫を殺した夜のことを指すのは明らかです。そんな人生をかけた夜でも、他人からすれば何も変わらない夜。
自分は正しい事をしたと意見を曲げないこはるでしたが、胸を張って「自分は間違っていない」と言っているわけではないのでしょう。
強さの裏に隠された彼女の弱さも垣間見えるセリフだと考えられます。
子供たちにとって特別な夜
父親が死に、母親が殺人者になったあの夜は子供たちにとっても特別な夜であることは間違いありません。
子供たちはこの事件のせいで誹謗中傷を受け続けています。
実際に攻撃してくる人々は赤の他人であり、あの夜はその人々にとって「なんでもない一夜」だったはず。
自分たちに関係ない人々の言葉に耳を傾けて傷付けられるより、自分自身を信じて欲しいと願う親心が込められているのかもしれません。
反発は愛の裏返し
家族の中で一番母親に反発しているのが雄二でした。母親を題材にして記事を書いたことから、母親への恨みが最も深い様に見えます。
しかし、それは誤解。15年前のあの日に録音した母の言葉を唯一忠実に守ったのが雄二だったのです。