出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07ZWX5T1L/?tag=cinema-notes-22
不貞の疑惑に端を発した、お家断絶の運命に翻弄される坂崎磐音(いわね)と奈緒の挫折と再生を描いた「居眠り磐音」。
優しくて思慮深いが腕の立つ主人公磐音と、奈緒の心情が丁寧に描かれていました。
物語の最後に出てくる南天の花にはどんな意味があるのでしょうか。
主人公磐音と奈緒が契りを交わした時や、奈緒が遊女になる決意をした時の南天も含めて考察してみました。
おこんの言葉を聞いたときの磐音の心情や、花魁(おいらん)となった奈緒の高額な身受け金についても言及します。
累計2000万部を超える佐伯泰英の人気時代小説シリーズ『居眠り磐音』を、本木克英監督が初の映画化。
2019年に劇場公開され、時代劇初主演となる松坂桃李さんのどこか影のある演技が好評でした。
引用:https://https:eiga-watch.com/iwane/居眠り磐音
南天の白い花は磐根と奈緒の門出によりそう
江戸で剣法の修業を終え、ふるさと豊後の国関前に帰ってきた磐音たち幼なじみ3人。
磐音が、許嫁の奈緒にみやげとして持って帰った匂い袋には、南天の絵が描かれてました。
幼なじみの一人小林琴平は、奈緒の兄でした。
契りを交わしたときの南天の白い花
磐音と奈緒は、磐音が江戸へ修業に出る前に、南天の咲く丘で祝言の契りを交わしました。
南天は、春から初夏に白い花になり、秋から冬に実をつけて厳冬時に赤く染まります。
奈緒は南天の花の前で変わらぬ愛を誓います。
たとえ色や形がかわっても、自分の思いは南天のように変わらないことを磐音に告げたのです。
白い花は、初々しい二人の気持ちをあらわしているようでした。
その時の奈緒は、将来起こる悲劇で自分が運命の渦に巻き込まれることなど思いもよらなかったでしょう。
すべてが終わり新しい門出を踏み出す磐音を見守る南天の花
ラストシーンで磐音とおこんの後ろ姿を見守るのも南天の花でした。
磐音と奈緒の愛を南天の生涯にたとえると、白い花は汚れを知らない無垢な初心のようです。
幼なじみを亡くして傷心のまま浪人に身を落とした磐音と、遊女となり生活を支える奈緒。
時が流れ、二人の環境は大きく変化しましたが、最後はお互いの変わらない愛を確認することができました。
これからの道のりは、とても険しいものになるでしょう。幾多の試練が待ち受けているかもしれません。
しかし、二人には強い絆で結ばれた愛情という武器があります。
白い花は、初めて契りを交わした時と同じように再出発した二人の背中を押してくれているようです。
南天は奈緒の深い愛と強い決意
奈緒は磐音と離れて暮らすようになっても、南天を見るたびに気持ちを奮い立たせて、磐音と会える時を信じて待ちました。
奈緒の強い意志は遊女になっても変わらない
磐音の行方が分からなくなっても、奈緒には磐音をさがす余裕などなかったのでしょう。
お家が断絶になり路頭に迷うことになった小林家は、日々生きることだけで精一杯だったと思われます。
妾に誘われたときはすでに生活がなりゆかなくなっていたのです。
南天を見て、遊女に身を落とすことを決意する奈緒。