レイアの『ドロイドを侮るな』の伏線を回収するシーンでもあります。
贈られたメダル
レイアが死んだことを知ったチューバッカの悲しみは深く、その叫びは遠くまで響きました。
命を預け合った戦友が愛した人の死です。
戦いに勝利したあとのチューバッカにマズ・カナタはメダルを渡します。
このメダルにはどんな意味があるのでしょうか。
それは、エピソード4のラストで同盟軍の英雄として迎えられたルークとハン・ソロが貰っていたメダルと同じものです。
その時の英雄たちと同じ働きをしたチューバッカに遅ればせながら渡した、ということではありません。
このメダルは、レイアがベンにフォースで気を送った時に手にしていたもので、ベンの父であるハン・ソロのメダルなのです。
レイア亡き後、この勲章はチューバッカが持っているべきだとマズ・カナタは考えたのでしょう。
チューバッカこそがこのメダルを貰い受けるべき『ただ一人の戦士』であることは、全世界の観客の意見も一致すると推察します。
スカイウォーカーの『意志』
最後の場面でファミリーネームを尋ねられ、答えに窮するレイの目にはルークとレイアの微笑む姿が見えます。
観客は皆こう願ったのではないでしょうか。「スカイウォーカーだと名乗ってくれ」と。
9つのエピソードで唯一『ファミリーネーム』がサブタイトルに使われている理由がここではっきりします。
名乗る資格
ルークとレイア、二人のスカイウォーカーからフォースを学び、最後のスカイウォーカーであるレンから命を受け継いだのがレイです。
そして期待通りスカイウォーカーと名乗ったレイの眼前に惑星タトゥイーンの『ふたつの太陽』が昇ります。
ふたつの太陽の色はレンのオレンジ色とレイの黄色、それぞれのライトセーバーの色でした。
それを見上げるレイの中には、レンの魂も宿っていることを示唆しています。
ここはあえて『レン』ではなく『ベン』と呼ぶべきでしょうか。
このシーンは前作で沈む夕日を見ながら消えていった『最後のジェダイ』ルークのシーンと対をなすのです。
闇に落ち、闇と戦い、また闇から這い上がった『スカイウォーカー』のまさに『夜明け』であると同時に、もう一つの意味も存在しています。
タイトルに込められた真の意味
原題は『The Rise Of Skywalker』です。『Rise』は『日の出』という意味だけでなく『立ち上がる』という意味もあります。
レイはパルパティーンの力に倒れた時、歴代ジェダイたちの「共にあれ」「君は一人ではない」という声を聞きました。
そして「Rise!(立ち上がれ)」という力強い声も。
レイは全てのジェダイたちの想いを背負って立ち上がります。
これこそが原題に込められた真意です。
スカイウォーカーの『意志』を受け継いだレイが『血』で繋がれたシスを滅ぼす。それが『スカイウォーカーの夜明け』なのです。
3本目の『ライトセーバー』
ルークとレイアの2本の『ライトセーバー』を砂に沈め、レイが取り出した新たな『ライトセーバー』は印象的でした。
それはレイがエピソード7から使っていた長い棒の先端を使いオリジナルで作っています。
前述したように、このライトセーバーは黄色い太陽の色です。
レイの中には様々な『思い』が混在しています。
パルパティーンの血、ルークとレイアの意志、そしてレンの命です。
これらが混ざり合って一つになり、レイの色として生まれたのが『黄色いライトセーバー』でした。
新たなジェダイの誕生を象徴するこのシーンは42年に及ぶ『スター・ウォーズ』の歴史を締めくくるに相応しい感動のラストといえるでしょう。
そして新たなサーガの始まりをも予感させる、まさに『夜明け』なのです。