ですがこの映画はこのタイトルでいいのです。その理由を考察していきます。
どうしてカンフーとヨガ?
タイトルの「カンフー・ヨガ」は中国とインドの代表的な文化を並べているといえるでしょう。
ですからタイトルを文字通りに受け取ると、「あれ?」と拍子抜けしてしまうかもしれません。
なんせカンフーを作中にアピールするわけでもないですし、ヨガの要素もあまりないのですから。
カンフー映画でもヨガ映画でもなく、「両国の文化を融合しました」という意味のタイトルだと思うのが正解だと思われます。
文化を認め合う
中国とインドの国際関係が問題になっている今、思い出して欲しいのが唐とマガダ時代の友好関係です。
当時の関係があったからこそ仏教が中国に伝わったりしたはず。それは互いの文化を認めていた証拠です。
カンフーとヨガという両国の文化を一つにまとめたタイトルは、また良好な関係を築きたいという願いが込められているのではないでしょうか。
まるで西遊記
誰でも知っている中国の物語「西遊記」。
映画に「西遊記」のストーリーが反映されている可能性があるので、共通点を見てみましょう。
仲間を連れてインドへ
まずは「西遊記」から。三蔵法師が悟空などをお供に連れて天竺へ旅に出かけることはご存知だと思います。
「カンフー・ヨガ」でもアスミタを追ってジャックと仲間たちがインドへ入りました。
ジャックが三蔵法師役なのか悟空役なのかは分かりませんが、この構成は「西遊記」を意識していると考えるのが自然だと思われます。
それに途中で何度もトラブルが襲い掛かるのも似ている点に挙げられるでしょう。
仏教の経典を持ち帰る
天竺へ行った三蔵法師一行は、仏教の経典を中国に持ち帰ります。
ジャックたちが見つけたインドの財宝が宝飾品ではなかったのも、ここからきているのかもしれません。
これらの重要な設定が複数一致していることは、果たして偶然でしょうか。
「西遊記」という中国とインドを繋ぐ歴史テーマを取り入れた可能性は高いと思われます。
まとめ
娯楽として観るにはいいけれど、ジャッキーのアクションを楽しむなら以前の作品の方が良いという感想が多い作品だと思います。
しかし中国とインドの歴史を振り返り、現在の国際関係を重ね合わせてこの映画を観ると、また違った解釈ができるはずです。
娯楽という表の顔を使いながら、しっかりとテーマを練っているのはさすがの一言。
ジャッキーが伝えたかったメッセージを観る側が受け取れるかという力量が試される作品です。