そして何よりトレイシーとの絡みの中で浮き彫りになるアンバーの特徴、それは白人至上主義です。

彼女の両親は遊園地タイテッド・エイカーズという、白人のみが入場を許される遊園地の所有者でもありました。

生まれてからこの方ずっとそういう偏った価値観を植え付けられて育ったことも大きく影響しています。

60年代当時特にこの白人至上主義は社会問題であり、アンバーは正にその象徴であったのでしょう。

面白いのは普通のミュージカル映画なら主人公になりそうな彼女が本作では醜い悪であるということです。

アンバーがダンス中に悪戯をされる理由

悪戯

トレイシーとアンバー、二人の対照的なダンサーを押さえた上でいよいよ本題です。

アンバーは何故ダンス中に次々と悪戯をされてしまうのでしょうか?

今度はより多角的な観点で見ていきましょう。

友達・仲間を大切にしない

発達障害が仲間外れにされるわけ

まず一番に挙げられるのはアンバーが友達・仲間を大切にしないからです。

彼女とトレイシーの最大の違いはここであり、トレイシーは誰よりも友達思い・仲間思いであります

ダンスの時も決して他人を邪魔立てしないし、どんな人とでも協調し他人を見下しません。

アンバーは対照的にダンス中でも自分が目立つために前に出たり、番組の権力を使って干したりしようとします。

つまり、自身が他者に対して行っていることが因果応報として跳ね返ってきているのです。

「与える」のではなく「奪う」

惜みなく愛は奪う

リンクとの三角関係を見ていると特にそうですが、アンバーはつまるところ「奪う」ことしか頭にないのです。

リンクとの恋愛関係はアンバーのボーイフレンドだったリンクをトレイシーは一方的に奪ったかのように見えます。

しかし、実際はそうではなくトレイシーとリンクはお互いを見ていく内に自然と惹かれ合っていっただけなのです。

何よりトレイシー自身がそのような差別や偏見を理由に自分や仲間の大切にしているものを奪われるのを嫌います。

そこが分からなかったから、アンバーは最終的に仲間達や一流ダンサーからも欲しいものを奪われてしまうのです。

時代の変化に取り残されていく者

取り残された闇 【単話売】 (OHZORA ご近所の悪いうわさ)

最終的に番組から干される側となってしまったアンバーは「時代の変化に取り残された者」の象徴でもあります。

差別や偏見なくどんな人にも明るくいることを身上とするトレイシーとの最大の違いは正にそこにありました。

旧来の価値観を引きずった者と新しい価値観を生み出し前に進んでいく者、これが二人の決定的な違いです。

色々な人種が居て色々な文化があって、そして人の数だけ、文化の数だけそれぞれに抱える思いがある。

そのごく当たり前のことに気付いて柔軟に対応出来なかったアンバーはどこか哀愁すら感じさせられます。

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