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「3月のライオン」は2017年3月18日に前編、同年に後編が4月22日に公開されました。
「ハチミツとクローバー」でも知られる羽海野チカの原作コミックを題材としたこの作品。
映画「3月のライオン」製作委員会のもと、主演の桐山零役には神木隆之介が出演。
川本ひなた役には清原果耶。ダブルヒロイン的な存在である義姉の香子は有村架純。
また、監督の大友啓史は、劇場版「るろうに剣心」シリーズや大河ドラマ「龍馬伝」でも知られています。
映画界では異例といっていい、短期間での前後編上映がなされたこの作品。
ここではそこに秘められた謎や伏線について考察します。
零が対後藤戦で導き出した答えとは
物語全般を通して零の大きな壁として立ちはだかる後藤政宗九段。
ちなみに、原作では養父である幸田柾近の弟弟子でした。では、零にとって後藤はどのような存在だったのでしょう。
後藤は零の恋敵だった?
香子に対して、零がほのかな恋心を持っていたと考えるのは自然なことでしょう。
なにしろ、彼らは年頃の期間を同じ屋根の下で暮らしていました。
しかも原作で零は彼女の美貌について明確に認めていますし、香子は香子でそれを知ってからかうような態度も見せています。
そう考えると、零はいわば「憧れ」であった香子を、後藤に奪われた、と見ることもできます。
零が手を伸ばしても届かない、正反対の「大人」
そして、後藤は零にとって正反対の「大人の男性」でした。しかも、「草食系」の零は正反対の「肉食系」。
妻帯者であったにもかかわらず香子の心を掴んだ彼を、零は激しい態度で追及しています。
しかも、一度は戦うことすらかなわず、そのことで後藤に罵倒さえされる。この時点では、後藤は零にとって手の届かない大きな壁でした。
一人の棋士として相まみえた零と後藤
しかし、時が経ち三姉妹に拒絶された零は、意を決して自分を支え続けて来たもの…「将棋」に没頭します。
この時点で例と後藤の関係性は明らかに変わりました。それは、後藤の方も同じ。
過程は異なれど両者はただ純粋な「プロ棋士」として雌雄を決しています。
後藤は「重厚」とされていた自らの棋風を捨ててまで零への対策しています。
その後藤の将棋を零は起死回生の一手で逆転することになりますが、実はこの勝負には少しだけアヤがあるのです。
零と後藤の対局を分けた、たった一つのアヤとは?
それは、後藤を倒したい一心でこの一局に臨んだ零と比べ、後藤は明確にその先の宗谷戦を目標にしていました。
後藤にとって零は宗谷戦までの通過点に過ぎないともいえます。
後藤にただ勝つことを目標にしていた零と、その先を見据えていた後藤。