同時にこれは人間が社会の理性から元の野性的な姿へと回帰していく様とも取れます。
ゾルグが生き残った理由
こうした二人の様は恋愛というよりも鏡写しであるといえるでしょう。
では何故二人の内ゾルグが生き残りベティは死んだのでしょうか?じっくり考察していきましょう。
人格の統合
結論からいえば、ゾルグが生き残りベティが死んだ理由は人格の統合にあるといえます。
ベティはゾルグの無意識を体現した存在であり、同時にゾルグも彼女が居たことで本来の自分に戻れました。
その証拠に彼は最後自らの夢だった小説家としての生計を見事に立てており、理想の姿になれたのですから。
そしてこの「人格の統合」が後述するあらゆる要素を紐解くための鍵となります。
ベティ・ブルーとゾルグ・イエロー
サブタイトルの意味の考察も兼ねると、特に象徴的なのがペンキを塗るシーンの二人の服の色です。
ベティが青色のつなぎに対してゾルグが黄色のタンクトップで、ここかたも二人のイメージが分かります。
ベティは悲しく破滅的な「死」を連想させるのに対し、ゾルグは前向きで明るい「生」を連想させるのです。
後にベティが黄色い車の上に座るときも赤でしたが、こちらも刹那的な情熱・破滅のイメージを連想させます。
このように色彩からも二人の運命の分かれ道がはっきりと示されているのです。
生きる目的を失ったベティ
ベティの生きる目的はあくまでもゾルグとの愛、もっといえば「彼と一緒にいられればいい」というものでした。
上述したようにベティにはゾルグと将来の明確な人生設計や目標といえるものは特にありません。
ゾルグの無意識の部分を体現し、彼を愛し彼に愛されている証拠があれば良かったのです。
それが肉体関係の末の妊娠であり、ベティはここで陰性反応が出たことで生きる目的を失ったと思っていました。
だからこそ彼女は常軌を逸し、ゾルグの制止すら利かなくなって薬漬けになってしまったのです。
それは正に将来への目標が明確にあるゾルグとは正反対の生き方でした。
酒の混合
ゾルグが生き残った理由を明確にした上で、今度は酒の混合について見ていきましょう。
劇中では何度も二つの異なる酒を一つに混合させるシーンが登場します。
これに関してもやはり上述したように「人格の統合」を象徴的に示すカットなのです。