潔癖症の人は世の中に大勢いますし、「個性」として捉えられることもあります。

しかし重度の潔癖症になると完璧を求め過ぎてしまい、どこかで妥協するか、ずっと理想を追い続けるかの選択を強いられます。

そして強迫性障害の人は、自分の意思に反して浮かんでくる考えを払拭せずにはいられないという性質を持ちます。

それはまさに現場に血痕が残っているのではないかと疑い、何度も家に戻るジャックの行動そのものです。

この潔癖症と強迫性障害が合わさり、彼の神経質さが成り立っています。

フルメタル・ジャケット

拘束された複数の男性のうちの一人が、ジャックの用意したフルメタル・ジャケットの間違いを指摘しました。

指摘してきた男性をまず殺してしまいそうなものですが、ジャックの頭にはそんな考えが浮かばなかったようです。

ジャックは指摘を受け入れて、販売元へ抗議に行きます。この行動にも彼の神経質さが影響しているようです。

完璧なフルメタル・ジャックで完璧に殺しを実行する。その観念に取り憑かれているのです。

完成しない家

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建築家を目指していたジャックは、途中まで作っては壊すを繰り返していました。ここにも彼の潔癖症と強迫性障害が関係しているようです。

完璧を目指すあまりに妥協を許さず、少しでも気になった点があったら直さずにはいられないのでしょう。

彼にこの神経質さがある限り、自分の家を建てることは不可能です。

つまりいつまでも完成しない家は彼の神経質さ・異常性を象徴していると考えられます。

連続殺人を犯すという異常さは完成しない家に表れていて、第一の殺人を起こす前から予兆があったことが分かるのです。

建築家と技師

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建築家を目指していたにも関わらず技師の職に就いたジャックは、現状に不満を抱えていたはずです。

自分は芸術家で、殺人もアートの一種だと考えていたように見えます。

なぜ彼は建築家という芸術を目指し、そして殺人をアートと捉えたのでしょうか。

コンプレックスを芸術で包む

彼の考えは完全に自惚れで、自分の狂気を芸術という言葉で曖昧にしているだけです。

彼は現実を見ようとしていません。建築家になれなかった現実・殺人を犯した現実。

そういったものから逃げています。

彼はただのコンプレックスの塊であり、自己を正当化する言い訳を作り出していたのでしょう。

その点ではジャックはある意味芸術的センスがあったのかもしれません。

平凡さを直視できない

完璧な家を作ろうとするたび、出来上がってくる土台や壁は平凡そのものだったのでしょう。

自分は建築家であり芸術家なのだと思い込んでいたジャックにとって、自分が作ったものを見ることは苦痛だったはずです。

作っても作っても平凡なものしかできない。現実と理想のギャップは彼を苦しめたと思われます。

芸術とは何かを常に考えていたのではないでしょうか。

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殺人は芸術的快楽

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もし自分の完璧な家が完成したら、めまいのするような快楽に襲われるのではないか。

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