5年前の大友の死がそうであったように、片岡の行動目的はヤクザ同士の抗争勃発でした。
これは前作だと連鎖する暴力の陰に隠れて見えなかった恐ろしい部分です。
片岡は常にヤクザ同士を時に嘘やデマを流して抗争勃発へ仕向けようとしていました。
それは正しく詐欺師のような手法で、表向き友好的な態度を取りながら自分の利になることしかしません。
だからこそ後輩刑事の繁田は彼のやり口の卑劣さに反発していたのです。
大友と木村を組ませた策略
そんな片岡の卑劣さが一番見受けられるのがかつて自首を勧めた筈の大友と木村のコンビ復活です。
彼は何と木村の大友に対する義理人情すらも利用して山王会を倒させようとしました。
一番怖いのは過去にあった木村と大友の裏切りを知った上でやっている故意犯である所です。
彼の中では兎に角漁夫の利で利益さえ得られれば何でもいいという魂胆が透けて見えます。
策士策におぼれる
片岡の人生は結局の所“策士策におぼれる”を地で行く癒着と裏切りの人生でした。
いつも丁半博打のように品定めをし、状況に応じてあっさり相手を裏切ります。
しかし、そのように裏切りに裏切りを重ねる者の末路は所詮破滅しかありません。
確かに人生生きていく上で素直さ・優しさだけではなく賢さや猜疑心・批判精神も必要です。
でもその為に人を踏み台にすることはヤクザの世界云々以前に人としての器を疑われます。
片岡はそういう意味で”品行”はよく見えても”品性”が最悪の男でした。
滅び行く山王会
そんな大友と片岡の因縁の中で山王会もどんどん衰退の一途を辿ります。
前作で華々しい未来が約束される筈の石原と加藤は見るも無惨な末路を辿るのです。
一体何が彼らをそこまで追い込んだのでしょうか?
人の上に立つべきではなかった者達
前作のラストで山王会のトップに躍り出た加藤と石原、しかし二人のやり方は余りにも過激でした。
年配の人達を蔑ろにした実力主義という名の石原の革命もどきはどんどん裏目に出ます。
そしてそれをきちんと諫めることの出来ない加藤もどんどん甘い方へ流されていきました。
実力自体は凄かったのです。行政の脅威となる位の事業規模拡大でしっかり結果は出したのですから。
石原にしろ加藤にしろ「人の上に立つとはどういうことか?」を分かっていませんでした。
権力が人の本性を暴く
石原と加藤は正に「権力が人を変える」の典型で、表面だけ見ると豹変したようです。
しかし、実際は前作で表面化しなかった彼らの汚い本性が出ただけではないでしょうか。
石原は元々日和見主義で自分の都合の良いように相手を利用し搾取してきました。