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2019年公開の映画「ワイルドライフ」は、オーストラリア人俳優のエド・オクセンボールドが演じる息子ジョーの成長も大きな見所です。
父親が低賃金で危険な山火事の仕事を始めると言い出したことをきっかけに、変化が訪れる家族の物語。
見たこともない母の素顔に息子のジョーは驚き、夫婦の間には修復不可能なほどの深い亀裂が入りました。
そんなバラバラになったと思われた家族が、最後に写真を撮るシーンは、見る人によって解釈が異なるでしょう。
今回は、ラストに家族写真を撮った意味・父が山火事の仕事を選んだ真意・母が浮気した理由について考察をしてきます。
ラストに家族写真を撮った意味
それぞれ別暮らしになった家族が、ジョーの希望でラストに写真を撮ります。
父と母の立場からするとギクシャクして居心地が悪いのですが、なぜジョーはバラバラになってしまった家族の写真を撮りたがったのでしょうか。
それでも家族だから
両親が別々の人生を歩もうとも、ジョーにとって彼らが親であることには変わりありません。
婚姻関係が無ければジェリーにとってジャネットは他人ですし、ジャネットにとってもジェリーは他人です。
ですが、ジョーは紛れもなく2人の血を引いています。
この家族写真は両親のためではなくジョーのために撮られたと考えるべきではないでしょうか。
以前と同じ様にとはいきませんが、彼ら3人が集まれば、それは家族以外の何ものでもないのですから。
形に残したい
父が山火事の仕事に就いてから、家族の写真を撮る機会はなかったのでしょう。
それはまだ両親に甘えたかったであろうジョーにとっては、家族の思い出が無いのと同じ意味だと思われます。
今の形の家族がどうであれ、この家族が存在したことの証明として撮影したのかもしれません。
火は家族の形を変える
ジェリーが山火事の仕事で家を出てから、家族の形が変わってしまいました。
母はミラーに頼り始め、心はすっかりジェリーから離れてしまったのです。
山火事のせいで父と母の関係は破綻したと考えると、火が大きなターニングポイントになるのではないでしょうか。
そして火が家族に関わるシーンがもう1回あります。それはミラーの家にジェリーが火を放つ場面です。
山火事を消してきたジェリーが、ここで火をつける側に回るのは皮肉としかいいようがありません。
この放火で本当の意味での家族の崩壊が決定づけられたと見ていいでしょう。
1つ目の火はジェリーのフラストレーションが発火したこと。
もしくはジャネットの堪忍袋の緒が切れた怒りの炎をイメージした可能性もあります。
そして2つ目の火はジェリーの嫉妬の炎を表現したとも受け取れそうです。
なぜ父は山火事の仕事を選んだ?
ゴルフ場の仕事に復帰するよう言われても、意地を張って辞めてしまったような父です。
山火事の仕事を選んだのも彼の思いつきだったのではないでしょうか。
家族は二の次
山火事の仕事は危険な上に低賃金でした。