出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B0009ULBOA/?tag=cinema-notes-22
2016年公開の本作は巷で話題の「こじらせ」を題材に青春期特有の感情を描いたコメディドラマです。
まずタイトルからして面白く「スウィート」と「モンスター」という相反する要素が混在しています。
等身大の17歳の女性が思春期特有の複雑な感情に左右されながら、それでも大人になっていくのです。
扱っている内容自体は決して派手ではないものの、現代の若者が抱える本質的な問題を見事に炙り出しました。
世間一般や批評家をはじめ評価も高く、以下の賞を受賞しています。
デトロイト映画批評家協会賞ブレイクスルー賞
第82回ニューヨーク映画批評家協会賞第一回作品賞
女性映画批評家協会賞若手女優賞引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/スウィート17モンスター
その他様々な賞にノミネートしており、興行収入も1800万ドルとかなりの人気です。
本稿ではネイディーンのその後を中心に考察してみましょう。
また、母が「了解」とメールした理由と兄に謝罪した心境も一緒に考えていきます。
こじらせの正体
「スウィート17モンスター」において一番の謎はネイディーンが抱える「こじらせ」です。
今の若者が抱えるこの「こじらせ」の正体は果たして何なのでしょうか?
潜在意識がマイナスエネルギー
こじらせとは元々簡単な筈の物事をややこしくさせることを意味しますが、その原因はどこにあるのか?
本質は潜在意識がマイナスエネルギーであることに全ての原因があり、要はセルフイメージが低いのです。
人間は潜在意識が95%、顕在意識が5%で思考や行動の殆どは潜在意識によって決定されるといいます。
この観点で見ると、ネイディーンは全ての思考・言動・行動において潜在意識がマイナスエネルギーです。
そしてそのマイナスエネルギーは見た目となって現われ、周囲の人達に悪影響を及ぼします。
ネイディーンが抱える「こじらせ」の根本的な原因はここにあるといえるでしょう。
思考は現実化するのか?
ネイディーンは妄想力だけは一人前なのに、何故かその妄想は現実化せず空回りばかりです。
よく「思考は現実化する」といいますが、これには一つ重大な落とし穴があります。
それは潜在意識がプラスエネルギー、かつ実現に向けての具体的な行動を伴うときのみです。
心底からその妄想を望み、その妄想を想像し創造していくというステップを踏まないといけません。
ネイディーンは潜在意識がマイナスな上妄想だけしておいて具体的な行動へと踏み込まないのです。
これでは思考が現実化するわけもなく、余計にマイナスに陥る悪循環が繰り返されます。
他者と触れ合うことへの恐れ
ネイディーンが起こしている「こじらせ」のもう一つの理由は他者と触れ合うことへの恐れです。
アメリカの学校にはスクールカーストが存在し、彼女はいわゆる「ナード」に属するのでしょう。
妄想力は逞しいのに行動力がない点は正に文化系として弱者扱いされるナードそのものです。
まして若者の世界は大人と違って思慮分別がない分本質も見抜けません。