しかし、ここで大事なのはネイディーンがアーウィンの紹介する友達の輪に加わったことです。

これは即ち一人の世界から脱却しはじめて人の輪の中に入れるようになった証でしょう。

それを思うとまずこの二人は友達という所からの再スタートなのかもしれません。

プラスに変わった潜在意識

「心のブレーキ」を消す技術―――「行動力」を全開にする、潜在意識の活かし方 (知的生きかた文庫)

何より一番大きな変化はマイナスエネルギーだった潜在意識がプラスに変わったことです。

ネイディーンの妄想は妄想ではなくなり「想像」へと前向きに変わりました。

逆にいいますと、そこに至るまでを描いたのが「スウィート17モンスター」です。

彼女の中からやっと「モンスター」が居なくなり、等身大の自分へ変わったのでしょう。

母が「了解」とだけメールした理由

気づけない毒親

そして「スウィート17モンスター」においてモンスターだったのはネイディーンだけではありません。

彼女の母親モナもまたモンスターであったといえるのではないでしょうか。

母がモンスターだった理由は父の喪失によって生じた過保護・過干渉にあるといえます。

夫を亡くした悲しみをずっと息子娘に構うことで埋め合わせていたのです。

「了解」というメールは彼女が子離れし本当の意味での母になれた証でしょう。

兄への謝罪

想像と妄想

こうして見ていくと、優秀だった兄ダリアンに謝罪した理由も自ずと判るでしょう。

ネイディーンは自分だけが父への喪失を悼んでる訳じゃないことに気付いたのです。

それは彼女が他者への想像力という広がりを心の中に持つことが出来た証でもあります。

上記のネイディーンでも書いた「妄想」と「想像」がやっとここで区別されました。

「妄想」はネイディーンの独りよがり、それが他者との繋がりで初めて「想像」になるのです。

ネイディーンは初めて他者を思いやる心境を知ることが出来ました。

自分が困っていても他者を思いやる心

開かれた対話と未来 今この瞬間に他者を思いやる

「スウィート17モンスター」は決して単なる青春期特有のこじらせを描いた映画に終わりません。

もっと深くまで突き詰めた人間の深層心理、そして「妄想」と「想像」の大きな違い。

様々な人間の葛藤をネイディーンを通して描くことで大人になるとはどういうことか?を描いています。

特に今の世の中は見た目こそ大人でも中身はネイディーンのように利己的な子供が増えているでしょう。

しかし、本当に人間として成長するにはそこを超えて他者を思いやる心を持たなければなりません。

そのようなごく当たり前の、しかし一番実践するのが難しい尊厳を彼女を通して描きました。