三上も部下たちも頑張っていたのでしょう。

しかし信頼は一瞬で崩れます。

それは警務部長のつまらない忖度から始まりました。

記者たちは『暴く事こそ正義』と思い込み、三上たちは『守ることこそ正義』を強要されています。

記者たちの乱暴で無礼な態度は演出とはいえ観客の心に重いものを投げつけます。

その重いものが一瞬で晴れるシーンは後編に仕込まれているのです。

刑事部と警務部

犬猿の仲とはまさにこの間柄でしょう。

お互いの弱みを探り合い優位に立とうとする言動はまるで猿山のボス争いです。

そのことは三上が刑事部長の荒木田が三上を抑えるために言った「赤間と刺し違えてでも」というセリフからも読み取れます。

刺し違えるといえば後編で二渡もそのセリフを使います。

警察官にとって『刺し違える』とは何か大きな意味があるのでしょうか。

県警と本庁

県警はその独自性を保ちたいと思っており、本庁は完全管理下に置きたいと思っています。

警務部は本庁管轄を望んでいるようです。

口では情報共有の有効性などときれいごとを言う赤間ですが、腹の中は刑事部つぶしでしょう。

多種多様な刑事ものドラマがありますが、概ね本庁と県警は仲が悪いように描かれています。

実際のところはわかりませんが、そのほうがドラマとして成り立ちやすいのでしょう。

発生事件の大きさによっていきなり現れ、イニシアチブを握られたのでは確かに面白くは無いですね。

実名報道の重要性

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スタートは実名報道の可否でした。

事故自体は死亡事故とはいえ凶悪なものでは無いようです。

なのになぜ記者たちはあそこまで実名報道に拘るのでしょうか。

なぜ実名報道に拘るのか

それは警察組織と同じです。

『本社=本庁』と『記者クラブ=県警』の構図ですから、結局こちらも私利私欲が根源です。

地方新聞にとっても正確な情報をいち早く届けることは重要な責務です。

実名を隠されたのではまるで子供の遣いのような記事になってしまいます。

三上を責め立てる彼らの脳裏には本庁からの叱責の声と共に本社復帰時期の皮算用が働いています。

誘拐事件と報道協定

報道協定とは警察とマスメディアの間で交わされる協定のことで、誘拐事件や人質事件などの場合に結ばれることが多いです。

協定が結ばれると解除までマスメディアは事件に関する詳細な報道を控える代わりに、ほぼリアルタイムで情報を入手することができます。

これはマスメディア側にもメリットがある上に、人命尊重にもつながることから行われる協定です。

報道協定は日本にしか存在せず、諸外国においては『報道規制』として一方的な強制力を持ちます。

報道協定は当然のごとく双方の信頼の下に有効化するのです。

三上が実名報道を原則とすると宣言した理由もここにあります。

映画とテレビドラマと小説

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64ロクヨンは文藝春秋の別冊版に2004年5月から2年に渡り連載された推理小説です。

作者はストリーテラーとして評価の高い横山秀夫で、全編書き直しで単行本出版されました。

まずはNHK土曜ドラマが5話仕立てで放送し、大きな反響を得たのです。

テレビドラマ版は小説のストーリーをほぼ忠実に描いていますが映画版は違いました。

三上を軸に進めるために余分な枝葉を削り、よりシャープな印象に仕上げています。

映画のキャストには刑事モノの常連俳優を揃えているので、観客は否が応でも重大事件を予感するでしょう。

佐藤浩市の迫力はもちろん、脇を固める俳優陣の存在感は目が離せないほどの緊迫感を生み出しました。

後編はいよいよロクヨンが解決します。前編に散りばめられた布石を丁寧に回収していく見事な構成ですよ。

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