そして、仲の良かった3人だったのに、修一と久子が黙ってつきあっていたことで啓二は孤立していったのです。
啓二:いいじゃん!どうせ同じ顏なんだし!
久子:全然違う!啓ちゃんは修ちゃんじゃない!
啓二:久子さえいなければよかったんだ!
引用:影踏み/配給会社:配給会社:東京テアトル
この時に啓二が久子に放った言葉には受験の失敗も、久子の存在があったからという意味も含まれていたのでしょう。
荒ぶる啓二が久子を襲った時のやりとりは、20年後の久子のピンチにも通じていきます。
啓二の正体と現れた理由
修一の後悔が生んだ幻影
修一の啓二や母親に対する後悔はとても深いもので、二人から逃げていたことが無理心中につながったと自分の罪のように生きています。
それが稲村道夫の家での事件と出来事で、過去の記憶がフラッシュバックし啓二の幻影を生んだのです。
啓二の役割
啓二は修一にしか見えない幻影です。幻影の啓二の言葉には確たる真意はありません。
啓二の言っていることは、修一の回想の中にいる啓二ならこんな時どう言うかな?何を思うだろうかという一人よがりの思いにすぎません。
修一は事件を一緒に追う相棒として啓二を呼び起こし、一方的に啓二と共に生きようと考えただけの存在なのです。
久能兄弟を双子と見抜いた久子
久子は職場に出入りする文具店の久能次朗と見合いをします。彼は晩熟であったものの真面目で実直な男でした。
久子が次朗を利用しようとしたというのは修一のことを忘れようとするためで、真面目で誠実な次朗に対し後ろめたさを感じ交際を断ったのです。
真壁兄弟と久能兄弟
このあと次朗のふりをした双子の兄新一朗が久子の前に現れ、再びプロポーズをしますが、まだ気がついていない久子はやはり申し出を断ります。
久子への嫌がらせが始まりさらに襲撃をしたことで、久子は啓二の時と同様に顔は同じでも次朗との人格の違いに別人で双子だと見抜くのでした。
双子だからと言って性格まで同じではありません。真壁兄弟とともに過ごしてきた久子だからこそ、久能兄弟が双子だったことも見抜けたのです。
双子であることの光と影
修一は新一朗に久子につきまとうのをやめるよう話をつけに行ったときに、久能兄弟と自分達兄弟に同じ雰囲気を感じたのでしょう。