結局ラリーが石板に月の光をあてたから事なきを得ましたが、もしもそれが間に合わなかったら、コンスはもう一つの姿を現します。
その時、罪人が制裁を加えられるのですが、その罪人とは誰なのか?これはもう少し後で考察してみます。
まずはコンスについて掘り下げ、古代エジプトに考察の方向を向けていきましょう。
石板が作られたのはエジプト新王国期
石板が作られたのはコンスの神殿と語られていました。この神殿は実在しています。
場所はエジプトのテーベ(ルクソール)のカルナック神殿の中で、そこにコンス神殿があります。
このテーベが栄えたのは、古代エジプトの歴史を区分けする古王国期、中王国期、新王国期の中の、新王国期にあたります。
新王国期で代表的な遺物といえば、ツタンカーメンのマスクが有名です。
この新王国期は、エジプトの歴史の中でも大いに栄えていた時代で、その時代の中でコンス信仰は生まれました。
そしてコンス信仰が栄えた新王国期にアクメンラーとマレンカレ親子のモデルのファラオ、そして石板の秘密が見えます。
新王国期の史実と石板が力を失う理由
数多くの実在の歴史上の人物が模型として出演する『ナイトミュージアム』。
しかし『ナイトミュージアム1』から出演している、アクメンラーは実は映画オリジナルキャラクターです。
なぜ実在したエジプトの王を使わないのかは分かりません。しかし大英博物館、コンス、この二つに共通するある事実があります。
その事実から、アクメンラーとマレンカレ親子のモデルが見え、モデルとされたファラオの史実を見ると、石板の秘密も見えるのです。
新王国期・大英博物館といえばラムセス2世
イギリスにある大英博物館には、さまざまな古代エジプトに関する史料や展示物が置かれています。
その中でも有名なものの一つに「ラムセス2世」の胸像があり、このラムセス2世が活躍した時代こそ新王国期なのです。
- マレンカレは新王国期に信仰されたコンス神殿で石板に力を吹き込む(映画内)
- それを行ったマレンカレは大英博物館にいた(映画内)
- 大英博物館には新王国期のファラオであるラムセス2世の胸像がある(現実)
これらのことから、マレンカレのモデルがラムセス2世であると推測できます。
ラムセス2世は古代エジプト最大の王と呼ばれていて、エジプト王朝を大いに盛り上げたファラオです。
そのラムセス2世の治世ののち、エジプトは一度混乱しますが、再びエジプト王朝を盛り上がります。その時のファラオが…
ラムセス3世はエジプト最後の偉大なファラオ
ラムセス2世がエジプト王朝を盛り上げた後、一度エジプト王朝は政治的に混乱します。
それを再び盛り上げたのが「ラムセス3世」です。これがアクメンラーのモデルである可能性があります。
史実ではラムセス3世はラムセス2世の子どもではありません。しかし、ラムセス3世の父親はラムセス2世の孫とする説もあります。
つまり血縁的つながりの可能性があるのです。そしてラムセス3世はエジプト王朝を再び勢いづかせ、最後の偉大なファラオと呼ばれました。
「最後」ということは、どういうことなのか。
実はこれ以後もエジプト王朝は存在しますが、外国勢力に飲み込まれ国力は衰退していく一方でした。
『ナイトミュージアム/エジプト王の秘密』は、石板の力が徐々になくなっていくのが物語の核。
この石板の様子はまさに、ラムセス3世(アクメンラー)以後のエジプト王朝の様子を表したものなのです。
そもそも石板は盗まれたもの
石板はそもそもどこにあるかというと、エジプトで見つかったものです。
石板が盗んだのはCJという少年の父親で、このCJこそ『ナイトミュージアム1』でラリーと一緒に夜間警備をしていたセシルでした。
石板があった石室に収められたもの
CJが石板を見つけた石室には、アクメンラーとその両親が埋葬されていました。
しかし石板は盗み出され、アクメンラーはニューヨークの自然史博物館へ、両親は大英博物館へ移動させられます。
石板にしてもアクメンラーとその両親にしても、もとはエジプトにあったもので、現在の場所は故郷ではありません。
実は石板が力を徐々になくしていくのは、これらのような「もとはエジプトにあった」ものが海外へ流出している現実が関わっています。
これらの現実問題を背景に、石板は力を失くしていき世界は「終わり」を迎えるのです。
墓を荒らせば終わりが来る
CJの父親が石室の存在を知ると、嵐が近づいているにも関わらず石室内の遺物を持ち帰ろうとします。