それは彼女の百合子が救った子供を見て涙を流す所から窺えます。

命あっての物種、鈴木は生き延びること程尊く価値のあることはないと知ったのでしょう。

だからこそ静かながらもあのラストには何ともいいようのないカタルシスがあるのです。

手紙の意味

復讐の世界から足を洗った鈴木ですが、冒頭では百合子の事故現場にある手紙置いてありました。

犯人は別にいる
フロイラインの寺原親子を調べろ

引用:グラスホッパー/配給会社:KADOKAWA、松竹

果たして誰が何のためにこの手紙を残したのでしょうか?その意味を読み解きましょう。

すみれとその一味

ニッポン非合法地帯 (扶桑社文庫)

ラストから遡る形で類推すると手紙を送った人はすみれか彼女が所属する組織関係者でしょう。

鈴木は寺原と殺し屋に対立する組織で、元教え子も実はその目的で送り込んだことが判明します。

具体的にフロイラインとまで指摘していますから、警察でもここまでの調べはつかないはずです。

組織の全貌は明かされていませんが、少なくとも世間には目立たない非合法な集団でしょう。

彼らが居なかったら鈴木はもしかしたら復讐の世界に足を踏み入れずに済んだかも知れません。

比与子の罠

もう一つの可能性として考えられるのが殺し屋・比与子の罠です。

比与子は鈴木とのファーストコンタクトで元教え子を気絶させジュニアが轢き殺される場面を見せつけます。

その後鈴木に押し屋を追うように命じていますから、彼女もまた形は違えど鈴木の復讐心を利用したわけです。

邪推を抜きにするなら、比与子の罠に引っかかった鈴木という構造が一番しっくり来るのではないでしょうか。

後半でも彼女に散々利用されていますし、だからこそ鈴木の傍には元教え子というサポーターが居たのでしょう。

復讐の世界に味方なし

誰の味方でもありません(新潮新書)

どちらの可能性であったとしても、鈴木は結局最後まで騙された間抜けということになります。

非常にタチが悪い世界ですが、しかし復讐の世界とはそれ位狡賢くなければ生きていけないのです。

いってみれば彼女達は法で裁けない悪を裏で違法スレスレのことをやって生きているわけですから。

まあどちらが酷いかといわれたら、間違いなく比与子の方ですが、まだ彼女は分かりやすい方です。

ここから復讐の世界、闇の世界では結局何者も味方にはなってくれないことが示されています。

鯨の幻影と蝉の耳鳴り

そんな鈴木が追っていた寺原には自殺屋・鯨とナイフ使いの蝉という二人の殺し屋がいました。

彼らにはそれぞれ鯨が幻影、そして蝉が耳鳴りという特徴を抱えていたようです。

彼らのこうした特徴は何が原因でそうなっているのでしょうか?

自殺者の亡霊

亡霊のジレンマ――思弁的唯物論の展開

鯨は目だけで会った相手を自殺させるという超能力に近い殺害能力を持っています。

そんな彼が幻影を見るのは自殺した人達への罪の意識に苛まれるからです。

寺原が麻薬や臓器売買をやっているから麻薬の幻覚症状も考えられますが当然違います。

直接手を下さないことが逆に彼の中に罪の意識を増幅させたのです。

人間直接的じゃなく間接的にされたことの方が効くといいますが、鯨もそういうタイプなのでしょう。

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