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2002年に公開されたゴジラシリーズの一作「ゴジラ×メカゴジラ」。
1999年からはじまったミレニアムシリーズの4作目です。
本作では機龍と名付けられたメカゴジラが登場しゴジラと激闘を繰り広げました。
監督は2000年公開のゴジラ映画「ゴジラ×メガギラス」で監督を務めた手塚昌明。
ゴジラと戦う人間の描写に拘る演出は、主人公の家城茜が失意の中から自分を取り戻していく姿を描き出しました。
初代ゴジラのDNAから作られた機龍。
機龍の最終兵器であるアブソリュートゼロが何故ゴジラに勝つことができたのか。
一度自信を失った家城茜が自信を取り戻した理由と研究者たちの苦悩と合わせて考察します。
最終兵器までもちこめた理由
機龍はボロボロになりながら何故最終兵器を使うまでもちこめたのでしょうか。
もう一人のゴジラ
本作の機龍はもう一人のゴジラです。
それは単にゴジラの骨から作られたからではありません。
人類の核実験で出現し倒された初代ゴジラは人類の被害者。
そのゴジラの骨が死してなおメカゴジラとして利用され同族と戦わせられる。
見方を変えれば機龍も人類の被害者なのです。
同時にゴジラから生まれたのでその力は紛れもなくゴジラと同等。
それが最後の最後まで戦えた大きな理由です。
命持つ機械
今作のメカゴジラの造形は格闘戦を重視しています。
精悍なフォルムで人類の希望ですが、機龍はとても孤独な存在です。
それは、機龍が人間の側に立つゴジラという前例のない存在だから。
機龍の孤独は湯原の娘の沙羅に重なります。
沙羅は周囲の人間は機龍を兵器としか見ない中、唯一機龍を命ある者として見ている。
たとえ暴走したとしても機龍はそこに生きている命なのです。
本当にただの機械ならゴジラとて容赦なく機龍を破壊したでしょう。
単なる機械ではないからこそ、ゴジラと戦うことができたのだと考えられます。
ゴジラ撤退の理由
今作のゴジラは何故最後に撤退したのでしょうか。
同族を求めるゴジラ
活動を停止していた本作のゴジラは機龍誕生に呼応するように現れます。
モスラや他の怪獣を上回る大怪獣と作中で語られました。
出現の経緯からゴジラが機龍、同族を求めて現れたことは明白です。
ゴジラを倒すための兵器がゴジラを呼び寄せるとは人類にとっては皮肉な結果。
その後品川に出現し、出動した機龍と再度戦うゴジラ。
激しく戦う両者ですが、出現理由からゴジラが本気で戦闘をしていたとは考えにくいです。
ゴジラにとって機龍は仲間だから。
よってフルパワーを出したゴジラの力は未知数です。
機龍が勝てたのはゴジラが全力でなかったことの影響も0ではありません。
ゴジラもまた孤独
仲間であったはずの存在が機械の身体で襲ってくる。
ゴジラもまた孤独な存在だと伝わってきます。
人類側にとっては最強の怪獣。
しかし、襲来目的を考えれば情のある部分も見えてくる。