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ディズニーも含むアニメ映画の中でも破格の大ヒットを生み出した革命作「アナと雪の女王」。

全く新しい王道を生み出した前作の続編となる今作ではより深く踏み込んだストーリーが展開されます。

前作から3年後、エルサは不思議な歌声を耳にし魔法を使える理由を知ることとなるのです。

再び変化していくアナやクリストフ、オラフ達の人物像と関係性はどうなっていくのでしょうか?

ネタバレも含めながらエルサが終盤で凍った理由を徹底考察していきましょう。

またエルサの母イドゥナの正体、そして「変化」をテーマにした真意をじっくり見ていきます。

自立と解体の物語

女の自立・男の自由―性別分業の解体を求めて (1984年)

全体を貫くテーゼは「自立と解体」です。これが前作も含む本シリーズの礎となっています。

面白いのは話が進むにつれエルサとアナの間に姉妹という感覚が失われていくことです。

エルサもアナも、そしてクリストフも「自立」を果たした結果「仲間」ではなくなります。

前作では少なくとも「姉妹」であり、そして「仲間」のままでいることができました。

それすらも本作では登場人物達の自立によってどんどん組織が「解体」されていくのです。

エルサが凍った理由

冷凍人間アイスマン (1981年) (ソノラマ文庫)

本作最大の見せ場にして多くの議論を生んだのがエルサが記憶を知り凍り付く場面です。

アナを逃がして凍り付いた彼女には何故そのようなことが起こったのでしょうか?

愛がなくなった

前作の続編として見ると、実はこのシーンがアナが凍り付いた場面との対比だと分かります。

アナが凍り付いたのをエルサが溶かすことが出来たのは妹への愛があったからでした。

本作の場合、エルサは過去の真相を見たことで祖父への大きな失望感による迷いが生じました。

自身のアイデンティティーでもあった氷の魔法の祖国こそがとんでもない悪だったのです。

そのことで心の拠り所や精神に迷いが生じ、魔法を制御出来なくなったのではないでしょうか。

アナとの訣別

訣別 ゴールドマン・サックス

凍り付く前にエルサは妹アナを逃がし、更にダム建設を何としても阻止するように伝えます。

ここでアナは姉エルサから完全な独立を果たし、またエルサもこの瞬間妹離れを決意したのです。

アナはエルサにとって庇護の対象であり、またアナにとってエルサは献身的に支えたい姉でした。

その関係性がここで一つの完結を迎え、お互いに新たなステージへと向かうときが来たのです。

自分がいなくてもアナが何とかしてくれるという信頼を初めてエルサはアナに与えました。

つまりエルサにとってこのシーンは別れがたい妹との完全な訣別を意味したのではないでしょうか。

精霊への進化の前触れ

まぼろし色のモンシロチョウ 翅にかくされた進化のなぞ (月刊たくさんのふしぎ2020年6月号)

三つ目がエルサが精霊になるための進化の前触れとして必要な手順だったという解釈です。

何か大きな力や成長を手にする為にはそれが大きければ大きいほど払う代償は大きくなります。

エルサの場合、人間から第5の精霊になるというとてつもなく大きな進化が待ち受けていました。

青虫が美しい蝶になるには一度サナギとして固まらなければならないのと似ています。

その試練を乗り越えてこそ初めてエルサは本当にあるべき自分になることが出来るのです。

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