今は美香子が自分の生徒にそれを与える番なのです。
『目から鱗』と言いますが、美香子はこの時自分のやるべきことがはっきりと見えたのでしょう。
教師という道を選ぶきっかけをくれた原田先生の思いに触れることで初心に立ち返ることができたのです。
美香子にできること
このままこの学校を離れるわけにはいかないと思った美香子は試合会場に急ぎます。
美香子ができること、それは「前を向かなければ道は見えない」ことを気付かせることです。
この学校をやめる前にそれだけはやらなければいけません。
それは「おっぱいを見せること」でしょうか。
違います。
生徒たちも気付いたはずです。
下を向く生徒たちに、駆けつけた美香子は「私のおっぱいを見るために頑張れ」と言います。
そして生徒たちにはおぼろげながら見えたのです。『おっぱい』ならぬ『自分の可能性』が。
試合には負けてしまい号泣する平田たち男子バレー部員。
彼らは美香子のおっぱいを見られなかったから泣いたのではありません。
悔しかったのです。それは真剣に努力をした人間にしか流せない涙です。
まさに「ナイスおっぱい」でした。
『1979年』の理由
おそらく元になった出来事は世に『スマートフォン』が普及し始めたころの出来事でしょう。
それを『1979年』という設定にしたのは何故でしょうか。
必須だった時代背景
「おっぱい」を見たいというモチベーションを、現代の中学生が持ち続けられるかどうかという疑問もその一つでしょう。
インターネットで何でも検索できてしまう現代では設定に説得力が足りなくなってしまうのです。
もう一つは鑑賞してもらう層の拡大もあります。
年齢を重ねた大人たちに見てもらうために、自分たちが中学生だったころの『ノスタルジー』を掻き立てられる時代設定にしたのです。
この時代背景にすることで、江ブーが『エロ本』を見つけるシーンや『11PM』をこっそり見るという演出が生まれました。
異性のことばかり考えてしまう思春期の男子中学生を描くには、1979年という時代背景が必須だったのでしょう。
そして暴君中井の存在もこの時代背景でないと成立しないキャラです。
中井が部室を去る時に後輩たちに言った言葉には思わず大きくうなずいてしまった観客も多かったと思われます。
時代を彩る音楽
挿入歌が素晴らしくマッチしていたことも評価できる要素の一つです。
ピンクレディーや荒井由実、浜田省吾や世良公則など時代を彩った名作が流れました。
おそらくこの時代が青春だった世代には堪らないほどの思い出が蘇ったはずです。
そして一緒に口ずさんでしまった方も多い事でしょう。
ヒット曲というのは一瞬でその時代のことを思い出させる『必殺兵器』だと改めて認識できます。
『北九州』になった経緯
水野宗徳の原作は静岡の三ケ日が舞台でしたが、本作では北九州でした。
何が設定を変える理由だったのでしょうか。
積極的な招致
日本各地に『フィルムコミッション』と呼ばれる映画などの映像作品に協力する団体が有ります。
NPOだったり市や町がやっていたり様々ですが、基本的に映画のロケで町おこしをというコンセプトがあるようです。
この「おっぱいバレー」を製作するにあたり、北九州のフィルムコミッションが積極的にロケを招致しました。