「ちっぽけな愛のうた」の歌詞には、理子に対する気持ちや付き合った思い出がおさめられていました。
愛おしい理子の姿が投影され、愛情にあふれる言葉でつづられています。
自分の想いを素直に伝えることが不得手な秋には、音楽を通じて言葉を交わすことしかできないのです。
歌詞には「離れていても気持ちは変わらない」「たとえ1人でも君は輝ける」という力強いメッセージが込められていました。
遠くから理子の成功と幸せを祈っていると伝える秋の言葉は、理子に勇気と力強さをもたらすでしょう。
理子がこの曲を聴いた時に涙を流しますが、悲しみの涙ではありません。その表情は、安堵(あんど)に満ちていました。
心が通じ合う2度のセッション
理子と秋の2人だけのセッションは重要な意味がありました。
最初のセッションで秋は自分の気持ちに気づき、最後のセッションでは気持ちを伝えラストシーンにつながります。
どちらも言葉ではなく音楽を通した心の会話でした。
理子に対する愛に気づいた最初のセッションで心が解き放たれる秋
2人の最初のセッションは秋の部屋。
初めて出会った時から、自分の素性を隠すための嘘でガードしていた秋がすべてを告白した時でした。
秋は、いつの頃からか自分の心を閉ざすようになり、純粋に音楽を楽しんだ頃のときめきを忘れていたのです。
理子の純粋な気持ちに触れた秋は、閉塞感に苦しんでいた心を解き放つことができました。
自分が理子に対する好意に気づいた時には、純粋に音楽を楽しむ気持ちを取り戻していたのです。
リコに愛を告げる「ちっぽけな愛のうた」通い合う2人の気持ち
「ちっぽけな愛のうた」で秋は初めて理子に愛していることを告げることができました。
夕暮れの2人だけのセッションです。まわりは静かでお互いの胸の鼓動が聴こえてくるようでした。
理子が歌い始めた時、秋の表情が変わっていきます。
曲を聴いて秋の想いを知った理子は、あなたの気持ちを受け止めたよと歌を通して伝えたのです。
曲の合間につぶやいた声にならないサヨナラは、また会えると信じる理子の強い信念があらわれています。
秋は、この歌の歌詞をしっかり自分のものにして歌う理子を見て、自分の気持ちが届いたことを確信したのです。
まとめ 秋は3度の嘘をつく
秋は理子に対して3度嘘をつきます。
最初は素性を隠すための嘘、2度目は心ならずも理子をあきらめさせるための別れのことばでした。
最後は理子に自分の作る音楽について聞かれた時です。
いつもけなげに秋の嘘を受け止める理子のいじらしさを受けて、徐々に変わっていく自分の気持ちに気づいた秋。
まっすぐな理子の想いに正面から自分の愛を伝えたラストシーンは、秋にとってもう嘘はいらないと感じた瞬間でした。