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伊藤智彦が監督を務め、声優に北村匠海、松坂桃李、浜辺美波など豪華キャストを用いた『HELLO WOELD』。
さまざまなSF映画の要素を取り入れながら展開されるストーリーは、まさに圧巻です。
その中でも物語の核に迫る疑問が三つあります。一つが「最後の1秒」で覆った、ナオミが目を覚ますシーン。
瑠璃を脳死から復活させるための物語であったため、なぜナオミが目を覚ますのかという声が多くあります。
また物語では常にサポート役でありながら、いまいち正体が捉えにくい三本足カラスの存在も明確にしたいところです。
そして、そもそもナオミが2027年の直実に会いに来るのは、どんな目的なのか。
作品中にナオミがそれについて何度か語りますが、語るたびにコロコロと説明が変わり、どれが本当の答えなのか分かりにくいです。
今回は「ナオミが目を覚ます意味」「三本足カラスの正体」「ナオミが2027年に来る目的」を考察します。
また、考察を進めるにあたって、主人公について直実は2027年時、ナオミは2037年時で表記しました。
ナオミ「が」脳死していた
ナオミが目を覚ましたとき、そこにはナオミが知っているよりも、さらに大人になったヒロイン役一行瑠璃がいました。
ナオミが起きて、瑠璃は映画の名言を放ちます。
やってやりました
引用:HELLO WORLD/配給会社:東宝
つまり瑠璃の発言は、ナオミを脳死状態から回復させるために奔走したということ。
ナオミが知らない、大人になった瑠璃がいるということは、ナオミの知らない空白の時間があった証拠です。
つまり脳死状態にあったのは、ナオミだということです。では、ナオミが目を覚ました未来はいつなのでしょうか。
ラストシーンやスピンオフ小説に見る
『HELLO WORLD』の予告動画内に、本作がラスト1秒でひっくり返るとする意味のキャッチコピーがありました。
それだけに最後の展開が急すぎて、理解が追い付かなかった人もいるでしょう。
この展開を紐解くには、ラストシーンに描かれたものや、スピンオフ小説でその謎が紐解かれてできます。
月面の施設
最後のシーン。そこに映像として映し出されたのは、月と月に建てられた研究施設でした。
少なからず2037年時点では、月にある施設は見られません。つまり、月に施設があるのは技術が2037年より進歩したからなのです。
そう考えると、ナオミが目を覚まして月にいるということは、そこが2037年でないことが分かります。
2037年以降のナオミは、何らかの原因で脳死状態になっており、基準とされる記憶がないため、瑠璃は2037年のナオミを探るのです。
スピンオフ小説で解説される
本作の公開日と同時に、スピンオフ小説が発売されています。
実はスピンオフ小説の方で、詳しくナオミの脳死について語られていました。そこにはこのような説明があります。
- ナオミが目を覚ました時が2047年であること
- 脳の機能停止を復活させる、蘇生プログラムの世界であること
- 蘇生させるためには、蘇生された状態の基準が必要でそれが2037年のナオミであること
これらをまとめると、ナオミが現実と思っていた2037年はアルタラ世界で、本当のナオミは2047年の現実世界で脳死だったということです。
そしてそのナオミを救ったのは、2047年時点のヒロイン役である一行瑠璃だった、ということにつながります。
本作の三重の世界観
これまで述べてきたように、本作には2027年、2037年、2047年という10年後ずつの三重の世界観があります。