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映画「クレイジー・リッチ!」はハリウッドのラブコメ映画の中でもかなり異色の作品となりました。
本作は「クレイジー・リッチ・アジアンズ」が原作なのでアジア人(Asians)のキャストで固められています。
監督もジョン・M・チュウ、主演のコンスタンス・ウー、ヘンリー・ゴールディングいずれもがアジア系です。
制作会社もSK GLOBAL ENTERTAINMENTから様々あるので、評価は高いながら賛否両論ありました。
あらすじは中国系系アメリカ人のレイチェルと恋人ニックのシンガポールでのある結婚式から始まります。
本稿ではレイチェルの麻雀の席でのやり取りを徹底考察していきましょう。
また、ニックが渡した結婚指輪の意味などについても見ていきます。
シンデレラというより花より男子
本作のあらすじはいわゆる貧民層の女の子が白馬の王子様と出会うシンデレラストーリーの王道です。
しかし、どちらかといえばシンデレラというよりも花より男子に近いといえるかもしれません。
というのも、どちらも根源にあるのは人種や家族、価値観の違いなどによるものだからです。
また、王子様役の男性が金持ちであるが故の葛藤や困難を抱えている泥臭い人物なのも似ています。
その上で違いを述べるなら主人公のレイチェルが大学教授という高いステータスにいることでしょうか。
この辺りはやはりハリウッド映画としてしかるべき整合性を取ったというところでしょう。
この構造を押さえた上で本題について考察していきます。
レイチェルの麻雀
本作の名場面にしてもっとも辛い場面の一つでもあるのがレイチェルとエレノアの麻雀シーンです。
恋人ニックを巡るある種の争奪戦とも呼べるこのシーンは何故かエレノアの勝利で終わります。
レイチェルは一体この麻雀に何を込めていたのでしょうか?じっくり掘り下げていきましょう。
東と西
面白いのはレイチェルとエレノアが座っている位置、ここから彼女達の関係性が読み取れます。
レイチェルが西でエレノアが東となるのですが、これはお互いの生まれ育った国です。
レイチェルはあくまでもアメリカ・ヨーロッパなどの英語圏という西欧に近い所で生きてきました。
対してエレノアは「アジア」を意味する東で育ってきたことを意味するものです。
ここに至った経緯として、レイチェルはアメリカ育ちだからという逆差別がありました。
まずこの座る位置で彼女達の力学関係が見えるような配置となっているのです。
索子の意味
レイチェルは索子に描かれている空洞の竹を集める作戦に打って出ます。
この索子の意味はレイチェルが「アジア系アメリカ人」であることを皮肉ったものです。
彼女の親友ペクは次のように指摘しています。
あなたはバナナ。外見はイエローでも中身はホワイト
引用:クレイジー・リッチ!/配給会社:WARNER BROS.
つまり、血筋がアジア人なのに価値観や育ちが完全にアメリカであるという不一致です。
ややもすればレイチェルは国の伝統や風習から目を背けて生きてきたボヘミアンと見られます。
そのような彼女の生き様がこの索子からも読み取れるのです。