出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00AA4G8RA/?tag=cinema-notes-22
本作はサラ・ポーリー監督作品として2011年に公開されたカナダ映画作品です。
キャストはミシェル・ウィリアムズとセス・ローゲンの2人を中心に結婚生活について描かれています。
夫婦の倦怠期を題材に非常に鋭いタッチで鮮やかに描かれてた本作は評価も高く受賞歴は以下の通りです。
Chlotrudis Awards オリジナル脚本賞
ハリウッド映画祭主演女優賞
サンディエゴ映画批評家協会主演女優賞
バンクーバー映画批評家協会主演女優賞引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/テイク・ディス・ワルツ
結婚生活5年目にして倦怠期を迎えたマーゴがある青年との出会いをきっかけに泥沼へとはまっていきます。
今回はマーゴがその青年ダニエルと不倫した理由をネタバレ含めてじっくり考察していきましょう。
また彼女がルーではなくダニエルに轢かれた理由や近くのカフェで密会した意味も併せて見ていきます。
“満たされている”が”満たされない”
本作を考察していく上で一番のキーワードは“満たされている”と”満たされない”の混在です。
夫婦の倦怠はよくある話ですが、更に切り込んでいるのは「表面上おしどり夫婦」という点にあります。
料理だってするし喧嘩をするわけではなく、ちゃんと「愛してる」の挨拶だって欠かしません。
しかし、表面上上手く行って満たされていてもマーゴは全く”満たされない”のです。
ここには物量は満たされていても精神面が全く満たされないという現代社会の闇が垣間見えます。
これはマーゴとルーのみならず現代に生きる夫婦が根底の部分で抱える問題ではないでしょうか。
マーゴが不倫した理由
マーゴは夫ルーへの物足りなさもあってか、青年ダニエルに不倫をしてしまいます。
これ自体はよくありますが、彼女の場合はややそれが過剰な形で表現されているのです。
あらすじを整理しながら理由を見ていきましょう。
「良き夫」のカリカチュアであるルー
まず一点目は彼女の不満の種になっている「良き夫」のカリカチュアであるルーです。
彼はいつも愛想よく声をかけるし家事手伝いもやるし仕事だって何でも嫌な顔一つせずにこなします。
しかし、いざ距離が近しくなるとその「優等生」から先の魅力がルーには全くといっていい程ありません。
記念日にレストランで食事をしたときにも彼女の問いかけを知らないことはないなどと無視してしまうのです。
彼の中では恐らく結婚している=全てを知っているという思い込みがどこかにあるのでしょう。
ですが、夫婦はあくまでも赤の他人同士であり、たとえ結婚していても細やかな会話のやり取りは欠かせません。
つまりルーはハンサムでいい男ではありますが、相手の心情を察して理解し伝えるスキルや配慮が足りないのです。
これではマーゴが不安になってダニエルへ不倫してしまうのも仕方がないでしょう。
リスクジャンキー
二つ目にルー自身がいわゆる刺激を求めてやまないリスクジャンキーであることが挙げられます。
新しく仕事を始めたり、ダニエルと不倫するときにも妄想や空想での肉体関係など常に欲望が先走るタイプです。
この点に関しては夫のルーの元を去った時にルーの姉にして親友のジェリーからも以下のように指摘されています。
人生なんかどこか物足りなくて当たり前なのよ。それに抵抗するなんてあんたバカよ
引用:テイク・ディス・ワルツ/配給会社:ブロードメディア・スタジオ
ジェリーも偉そうにいえた立場ではなくアルコール依存症なのですが、この義姉妹は火遊びが好きなのかもしれません。
その癖夫には「分かってよ」と自分の言葉で直接に伝えないのですからまどろっこしいです。
妹同様マーゴも火遊び・男遊びに依存しているのではないでしょうか。
自助努力不足
結局のところこの夫婦の問題点は双方の自助努力不足です。