なのでその都市開発賛成派の労働階級からすれば再開発に当たって老人ホームなど無用の長物でしょう。
そうしたイギリスの労働社会が生み出す根源的な問題が背景としてあったのではないしょうか。
ゾンビを壊滅させた者の正体
ネズミ講方式でどんどん増えていくゾンビですが、ラストにはきっちり大量殲滅させます。
果たして誰がゾンビら一味を壊滅に追い込んだのでしょうか?
レイおじいちゃん
最後の決め手となってくれたのは老人ホームの管理人でもあったレイおじいちゃんでした。
彼は最後「おいゾンビ!てめえら、俺のイーストエンドから出て行きやがれ!」と叫びます。
未だかつてゾンビ映画においてこのような口上を決め込んだ格好いい老人がいたでしょうか?
老人ホームは確かに利益や価値を提供しない人達ですが、それでもレイにとっては大切な人達であり施設です。
それをめちゃくちゃにされればレイに限らず誰だって憤懣やる方ない想いに囚われるでしょう。
彼はそういう意味で老人世代の意地を背負った本作における労働階級の象徴です。
ここに本作がただ老人達が為す術なくやられていくだけの映画にしない配慮が窺えます。
避難を優先させたマグワイア兄弟
そんなレイおじいちゃんと共に戦力となってくれたマグワイア兄弟の活躍もまた見逃せません。
彼らは銀行強盗という不貞を働いてしまったとはいえ、基本的には義理人情に厚い兄弟です。
最後の決め手となったのはレイおじいちゃんですが、そこまで間を持たせたのは孫のマグワイア兄弟でした。
彼らがまず足腰の弱い者達をバスで逃がし、更に陸地では不利だから船に乗せて海へ逃げました。
この咄嗟の機転で地の利まで判断した上での賢明な判断が多くの人達を救ったのです。
祖父と両親の想いを継承した兄弟達もまた若手代表として負けず劣らず尽力してくれました。
船に乗った民衆の力
そして何よりそんな兄弟とレイおじいちゃんの奮闘に勇気づけられたイーストエンドの民衆の力です。
当然ながらレイおじいちゃんだけでは多勢に無勢であり、一定数以上の戦闘員が居なければ困ります。
そこで最後の最後無力な一般人の象徴だった避難民が最後にゾンビに一矢報いたのです。
これは下町だからこそ出せた絆となのでしょうが、結束した労働者の強さはゾンビに負けません。
凄くアグレッシブではありますが、そうした逞しさをしっかり強さとして示したのが成功要因でしょう。
ゾンビたちを壊滅させたのはレイを中心に一致団結したイーストエンドの市民の力なのです。
銀行強盗の目的
さて、本作では老人ホームがなくならないようにと兄弟達が銀行強盗を働くことになりました。
幾ら金を集めるためとはいえこんな違法行為をやらかす背景には何があったのでしょうか?
マグワイア家が祖父以外無職だった
終盤では凄くいい見せ場を貰っていますが、マグワイア兄弟は何と両親含めて無職だったのです。