出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B0050ICM0S/?tag=cinema-notes-22
映画「キャッツ&ドッグス(CATS & DOGS)」は2001年公開のアメリカ・オーストラリア合作のSFコメディ映画です。
2010年には本作の続編「地球最大の肉球戦争」も製作されており、ほぼ人間は登場せず犬猫のみとなります。
あらすじも古くから続く犬族と猫続の争いから猫族が世界征服を企むというとんでもない話です。
故に犬派か猫派かで評価が大きく別れる作風であり、好きな人は好きな一方嫌いな人はとことん嫌いでしょう。
そんな本作ですが、今回はルーの意識が戻った理由をネタバレありで考察していきます。
また家族を選んだ理由、そしてエージェント犬会議決定の真意などについて掘り下げていきましょう。
本筋は非常に王道的
本編はいわゆる「トムとジェリー」のような動物がベースにある世界観故に特別に見られがちです。
CGを用いたり、完全に猫を悪に仕立てたりとやっていることは表面上かなり挑戦的に見えます。
しかし、そうした外側を構成する要素を剥がしていくと中身は落ち着いた王道の話です。
エージェント犬の代理で来た犬ルーが命がけの戦いの中で強く逞しく一人前の犬へと化けていきます。
表面上の奇抜さに反して脚本そのものはしごく真っ当な整合性の取れた作品となりました。
ルーの意識が戻った理由
本編終盤ではルーが猫族のボス・Mr.ティンクルズの罠にはめられてボコボコにされてしまいます。
そこで一度気絶したにも関わらず彼は意識を回復させました。何故意識が戻ったのでしょうか?
ルーの心情を中心に考察していきましょう。
スコットに一人前だと認められた
手違いでブロディー家に配属されたルーのあだ名はスコットがつけた“負け犬”の蔑称「ルーザー」から来ています。
ラストになるまで彼はペットとしても、そしてエージェント犬としても中途半端だったのです。
だからこそ自分一人で何かを成し遂げることで飼い主に認めて欲しかったのではないでしょうか。
その思いが通じたのか、スコットは温かい言葉をかけてくれました。
君は負け犬なんかじゃない、僕の親友だよ
引用:キャッツ&ドッグス/ワーナー・ブラザース
これこそずっともがき苦しんでいたルーが一番欲しかった言葉だったのです。
その頑張りが漸く認められる形となりました。
死と再生
この気絶→意識回復は同時にルー自身の擬似的な死と再生という通過儀礼だったのかもしれません。
どういうことかというと、ここまでのルーはペット未満かつヒーロー未満でありました。
そのルーが仲間達の支えもあったとはいえティンクルズの野望を打ち砕き、ヒーローとなったのです。
つまりそれまでの半人前・見習い状態のルーが死を迎え、一人前のヒーローに生まれ変わりました。
そうした通過儀礼としてのルーの死と再生の意味がここに込められているのです。
彼はもうただの負け犬ではなく、大きく立派なヒーローへと大成しました。
Mr.ティンクルズとの対比
そして何よりここで外せないのは本作の黒幕である猫ボス・Mr.ティンクルズとの対比です。
ティンクルズはメイソン社長の屋敷と工場を利用するだけ利用し、挙句の果てに乗っ取りました。