彼がFBIに捕まるようにしたのも全ては冤罪によって濡れ衣を着せ、アリアの元に来させたかったのです。
まあ結果としてはジェリーが馬鹿正直に解除してしまい、事態はとんでもない方向へ悪化してしまいますが…。
アリアにとって救いだったのはジェリーが兄のイーサンと違い判断力が低い馬鹿だったことでしょうか。
でなければ恐らくスマートに回避されていたことでしょう。
レイチェルが選ばれた理由
そしてレイチェルが選ばれた理由は音声ロックを解除したジェリーの始末係です。
流石に音声ロックを解除した後にジェリーを残したら何をされるか分かったものではありません。
だからこそレイチェルが選ばれたのですが、これだけだとレイチェルが選ばれた理由としてはやや弱いです。
しかし、ここでのアリアの誤算は生死を共にしていく中でジェリーとレイチェルに男女の絆が芽生えたことでした。
これによってジェリーを殺せないレイチェルは別の作戦に参加させられますが、それが決定打となります。
爆弾テロを親子で仕掛けるため
レイチェルが選ばれた真の理由、それは息子のサム共々爆弾テロの人間爆弾要員だったからです。
つまり息子のトランペットにはレイチェルがしている首輪につけられた時限爆弾の起爆装置がついていました。
これが最初から意図していたのか、それとも後付けだったのかは分かりません。
しかし、その計画は最後ジェリーが気付いたことで間一髪阻止されましたが、一番恐ろしいのはアリアの狂気です。
上記したように結果としてはギロチン計画を画策したイーグル・アイこそが一番のテロリストでした。
ここまでややこしい段取りを組んだ計画力もさることながら、テロ防止の為なら卑劣な手段も構わず使っています。
もしアリアが人間だったとしたら一番怒らせてはいけない存在なのかもしれません。
血を吐きながら続ける悲しいマラソン
アリアが教えてくれたのは絶対正義とは結局血を吐きながら続ける悲しいマラソンでしかないということです。
本作においては世界中で起こっているテロ防止の為にアリアという絶対正義がそれを体現していました。
正義とはあくまでも人間が生きていく上で都合をつけて生み出した相対的なものに過ぎません。
それを上から徹底的に締め上げようとすることはかえって歪みをもたらすことに繋がります。
アリアは決して都合の良い神様ではない、そのことを自覚しないといけません。
都合の良い神様に縋らない
本作が一番に伝えたかったこと、それはきっと都合の良い神様に縋らないで生きることの大切さなのでしょう。
今現在私たちはコンピュータをはじめとする便利なデジタル社会を当然の如く享受し神様のように有り難がっています。
しかしそれを開発したのはあくまで人間、絶対に間違いが起こらないという保証はどこにもないのです。
コンピュータやデジタルはあくまでも道具や手段以上のものとはなりえず、目的を見誤ってはいけません。
ジェリーとレイチェルはそれに縋らなかったからこそ最後に幸せを手にすることが出来たのです。