ジャックは巨人の妻から復讐される立場となり、結果赤ずきんの故郷が壊滅してしまいました。
シンデレラとパン屋の夫は相手に浮気されたことで完全に身寄りを失うことになったのです。
これは恐らく原作のグリム童話では描かれなかった幸せを手にした結果失ったものではないでしょうか。
彼らのやり方は千載一遇のビッグチャンスで幸せになろうという常識外れな方法だったのですから。
目標達成の為に長い目で見た時の幸せを逃す形となりました。
人間の本性が出てしまう
魔女の項目でも触れましたが、願いを叶えた結果主人公達の卑しい本性が出たことです。
ラプンツェルと王子の駆け落ち、パン屋の妻とシンデレラの王子様の浮気、そして妻の死の責任の擦り合い。
赤ずきんにしたって新しい頭巾を死んだ狼の皮から作るという惨たらしいことをしています。
いずれもが原作では描かれていない本作ならではの暗黒面をコメディタッチに描いています。
とはいえ、いずれもその原因は自分達の欲望を優先した彼ら自身にあるのですから仕方ありません。
幸せを手にしたことで彼らも理性の箍が外れて欲望が膨れ上がったのかも知れません。
1つの疑似家族が形成された
しかし最後にはいい影響として身寄りを失った赤ずきん、ジャック、シンデレラの3人が家族になれたことです。
家族といっても勿論疑似家族なのですが、元々出会うはずのなかった人達が出会った末に奇跡が起きました。
これはまさに夢の共演ならではの原作の垣根を超えた結果といっても過言ではないでしょう。
数々の選択を誤りましたが、しかしだからこそ彼らは最後に仲良くなり団結出来たともいえるのです。
ただの夢の共演ではなく1つのチームを形成していく過程まで描かれている点もまた物語への影響でしょう。
不思議な森での出会いは最後に彼らに1つの幸福をもたらしてくれました。
一瞬の選択が全てを左右する
こうして見ると、凄く荒唐無稽かつ原作からの乖離も目立つので評価は賛否両論です。
しかし、最後にパン屋の夫が赤ん坊に作品の結論を聞かせてくれました。
どんな選択をするかが大事だ、辿る道が大事だ
引用:イントゥ・ザ・ウッズ/配給会社:ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
そう、人生は全て一瞬の選択の積み重ねであり、その選択が全てを左右するのです。
本作で出会った仲間達はその過程で数多くの選択を誤り、しかし最後には一致団結して1つの選択をしました。
だからこそ本来の幸せとは違うながらもまた違った幸せを手に出来たのではないでしょうか。
その掴んだチャンスをものに出来るかどうかで選択肢も辿る道も大きく変化するのです。
まとめ
本作はグリム童話同士のクロスオーバーでありながら、数々の予想出来ない展開を生み出しました。
それは現代において既に形骸化したグリム童話を現代風に再構築しようという試みでもあったのです。
何より強い時代背景を背負っていた童話達を共演という形で復権させる発想は大きな影響を与えたでしょう。
そしてその中に人生のやや教訓まで散りばめるなどグリム童話の本質はしっかり守られています。
本作をきっかけにしてグリム童話を知る人達がまた新たに出てくるのではないしょうか。