このように異常なまでに性への執着が強いことから性依存の可能性を否定できません。

距離を取らなかった吉蔵

人との「距離感」がわかる人、わかっていない人―――“つかず離れず”が人間関係の極意 (三笠書房 電子書籍)

もっとも吉蔵自身が女の扱いに長けた色男過ぎることにも原因はあり、定だけが悪いのではありません。

吉蔵は吉蔵で女にだらしない側面はあり、トクを抱くなと脅されているのに簡単に約束を破るのです。

そのくせ妙に思わせぶりなことをいったりしたりして興味を引くものだから始末に負えません。

吉蔵もまた定の内面を理解せず、距離を取るべき時に取るという適切な対応が出来ませんでした。

そうした色男としての奔放さが余計に定をして吉蔵を独占しようと思わしめたのではないでしょうか。

吉蔵の隣で微笑んだ理由

東京市荒川区尾久の待合で定は吉蔵を絞殺した挙句彼の性器を切り落とします。

その時まるで憑き物が落ちたかのように微笑むのですが、その理由は何なのでしょうか?

あらすじなどを踏まえながら改めて考察していきましょう。

他の女と触れなくなる

異常愛欲にとらわれた女たち【合冊版】Vol.2-2 (スキャンダラス・レディース・シリーズ)

吉蔵を殺した時について定は尋問にて殺せば他の女と触れなくなるといっていました。

また、吉蔵が家庭持ちであったことから心中なども考えられなかったのだともいっています。

確かに他の女どころか誰とも触れ合わなくなりますから願いは叶ったのでしょう。

他人に他人のコントロールは絶対に出来ないことを定は十分過ぎるほど分かっていたのです。

そうなると後はもう殺す以外になかったのではないでしょうか。

何故監禁しなかったのか?

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不思議なのは何故定は監禁などの方向に行かなかったのか?ということです。

吉蔵と一緒に居たいだけなら駆け落ちも含めやりようは幾らでもありました。

上記したように定は吉蔵の性器へ異常なまでの関心を持っていたのです。

彼女にとって大事なのは吉蔵との肉体関係であり、彼個人への愛は後から来るものでした。

だからこそ吉蔵を殺して性器を切り落とす以外に考えられなかったのでしょう。

奪うことしか考えていない

突き詰めると定は如何に他の女から吉蔵を、吉蔵の性器を奪うかしか考えていませんでした。

事件の現象だけを見れば異常でも、彼女の精神面自体は割とごく普通の女性だったのです。

世の中このような相手から奪うことしか考えていない人間はごまんといます。

定もその一人で、思考や表現がかなり極端な方向に行き過ぎただけではないでしょうか。

だからこそその奪うことが実現したときに初めて所有欲が満たされ笑顔になったのでしょう。

捕まった定の心境

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こうして所有欲を満たすことは出来たものの、当然定は逮捕されました。

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