なぜなら、暴走さえさせなかったら、ターゲットを躊躇せずに攻撃できる精神はCIAに向いているから。
しかも、攻撃することに大義があり正当化されるのです。だからこそ、ミッチは復讐後もCIAに残るのでした。
テロリストへの徹底した憎悪
恋人を失ったら、当然その犯人への憎悪は増します。しかも、それを目の前であからさまにやられると、なおさらです。
この経験は、ミッチへ「徹底ぶり」を教えました。
復讐を心に誓ったミッチは、先述したように攻撃性が非常に高まりました。一方、復讐のために徹底的に物事を進めることも教えます。
映画冒頭では、アメリカ人であるミッチがアラビア語を使って、テロリストとメールのやり取りをするシーンがありました。
さらには、イスラム教の神話についても語ります。恋人を失った後から考えると、これらは復讐のために身に付けたものです。
CIAでも掴めなかったテロリストの情報を掴み取ることは、並大抵のことでないことは十分分かります。
それほどまで、徹底した準備と復讐は恋人が死んだというトラウマが備えさせた能力といえるでしょう。
精神鑑定書によると…
映画の中で、鬼教官スタン・ハーリーが初めて登場したシーン。スタンの手元には、ミッチに関する精神鑑定書がありました。
そこに書かれていた内容は、このようなものです。
continve nightsweats(寝汗が続く)obsessive(強迫観念)manic(躁病)
引用:アメリカン・アサシン/配給会社:ライオンズゲート
間違いなくこれは、恋人の死の影響を受けたミッチの精神状態といえます。
強迫観念に関しては、テロリストや悪、自身の敵となるものに対する、「殺してでも復讐する」という気持ちでしょう。
さらに躁病になると、危険を顧みずに行動することがあるそうです。まさに映画内でのミッチの暴走のことを指します。
恋人の死のトラウマによる影響は、ミッチの精神状態や行動に反映されており、すべてをこの精神鑑定書が説明しているのです。
アニカは他殺か?自殺か?
アニカは地下から逃げるゴーストに人質に取られますが、すぐにあごの下に銃弾が命中し死亡します。
突然のことにゴーストが打ったのか、アニカが打ったのかは分からない人もいたはずです。
あの場面では、アニカは自らの手でゴーストの手の中にある銃の引き金を引いています。つまり自殺です。
もみくちゃになっている様子なので分かりづらいですが、アニカが人質に取られた時の発言から自殺であることが明確に分かります。
アニカが「自殺」と言える根拠
映画内でアニカが語る身内は三人います(映像として登場するのは一人だけ)。
その身内が、現在どうなっているのか、そしてゴーストの人質となっているときの発言を考えれば、アニカは自殺と判断できるのです。
アニカが語った身内は父と兄と叔父
アニカの正体がイラン人だとバレた後、CIAがアニカを護送しようとするところに、ミッチが現れアニカに協力を求めます。
その後、ミッチと車でスタンの元へ行く途中の社内で、アニカはこのように語りました。
アシャーニは私の叔父よ。~中略~兄も父も彼らを止めようとして死んだわ。
引用:アメリカン・アサシン/配給会社:ライオンズゲート
この中で語られるアニカの身内は、父・兄・叔父であるアシャーニの三人です。
そしてセリフからは父と兄の死亡が確認できますし、叔父のアシャー二はスタンとの会話中にゴーストに殺されました。
つまりアニカの身内として話に登場した三人は、この時点で全員亡くなっているのです。
そういえば、一度目にホテルでゴーストに捕まったときも、アニカはミッチに愛する人を失っていることを語っていました。
おそらくそこで語った愛する人とは、父と兄の二人のことを指していたのだと思われます。
家族に会いたい
映画クライマックスでゴーストに捕まり、人質として銃を突きつけられているとき、アニカはミッチにこのように語ります。